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大成建設/カヤバシステムマシナリー 免震用パッシブ切替型オイルダンパーを改良
2016.07.18 17:10
適用範囲を30cmから80cmに拡大
大成建設(東京都新宿区)とカヤバシステムマシナリー(東京都港区)は、様々な揺れの地震に対して最適な免震性能を発揮することができる免震建物用パッシブ切替型オイルダンパー「T―Sオイルダンパー」の可動範囲を広げ、国土交通大臣の免震材料認定を取得。免震建物への適用範囲を拡大した。
東日本大震災後、南海トラフ沿いの海溝型巨大地震の想定震源域が見直され、従来設計の想定を大きく上回る長周期地震の発生が危惧されている。大規模な地震が発生すると免震層に過大な変形が生じ、周辺擁壁との衝突や免震装置の損傷などが生じる恐れがあるため、免震層の過大変形を抑制する技術が求められている。対策としてはダンパーの抵抗力を大きくし、免震層の変形を抑制することが効果的だが、頻度の高い中小地震に対しては免震層の動きを阻害して免震効果が低下するという問題があった。
そこで都市型小変位免震向けに実施適用してきたパッシブ型のオイルダンパーの可動範囲を従来の30cmから隣接する建物や周辺擁壁との緩衝を避けるために必要とされる最大80cmまでに広げ、適用範囲を拡大。これによりあらゆる地震に対する免震性能の確保と、それを超える巨大地震や長周期地震動に対する安全性向上の両立が可能となった。