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オーベラス・ジャパン コスト削減業務のワンストップサービス強化
2016.09.26 13:11
新電力切り替え200棟、約2億円分の電気料金削減
「すべての不動産プレーヤーに最良のコンテンツを」を企業理念に掲げ、主に不動産ファンド・Jリートを運営するAM会社に対して「電力自由化を活用した収益不動産のNOI向上サポート」を無償提供しているのがオーベラス・ジャパン(東京都江東区)だ。代表取締役副社長の池田良太氏によると「サービス開始から半年で200棟以上の電力会社切替えをお手伝いし、成約ベースで約2億円分の電気料金を削減。削減分がそのままオーナー利益となる収益構造の場合、2億円分のNOIが向上したこととなり、仮に5%の利回りで割り戻した場合、40億円分の不動産価値向上に寄与したことになる」と述べる。「AM会社の半数近くは当社にご依頼頂いた実績がある」という同サービスが評価された理由について代表取締役社長を務める大庭勇太氏は「投資家と直に接するためコスト意識の高いAM業界だが、事業スキームが複雑なため、新電力がそれらを理解するのは難しい。元不動産プレーヤーとして活動してきた当社は、アセットマネージャーの意図を汲み、共通言語を用いて提案することが可能であるため」と推測する。
開始早々高く評価されている同サービスだが、池田氏によると「現在はワンストップサービスを強化している」とのこと。どういうことか。
不動産ファンドやJリートは全国に様々な不動産を保有している。新電力によってはエリアや建物規模・用途によって得手不得手があり、物件ごとに各新電力の提案金額はかなりバラつく。新電力が受託できないエリア・用途もある。まれに新電力側が積算を間違えてしまい比較ができないこともある。これでは電力会社切替え業務が非常に煩雑になってしまう。さらに、実際の各新電力への打診や比較検討をPM会社に任せるケースも多いが、PM会社からすると、日常業務とは別に電力業界のことを勉強しなければならず、手間のかかる業務となってしまう。こうした課題を解決するべく、同社では信頼できる新電力を複数打診し、削減提案の比較検討、最適な事業者選定、契約締結サポートまでを一気通貫で担当することにした。また、大庭氏によると「我々は常に電力業界の動きを見ているので、当社を利用して頂くことで、各新電力の電源調達や新メニュー開発などをリアルタイムでお伝えすることができます。今年は各社の調達事情が良いので再度切替えを検討しましょう、今はこのエリアは値上げトレンドなのでそっとしておきましょう、などポートフォリオ全体を継続的に見守ることができます」という。これによりAMにとっては新電力によるコスト削減業務を一手に引き受けてもらうことができ、PM会社は業務負担を軽減することができる。
現在、同社では新電力事業者を広く募集しており、より魅力的な提案をファンド・リート業界に広めていくことを目指している。