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大阪市 帯水層の蓄熱活用に向けた実証開始
2016.09.26 13:02
大阪市では、10月よりJR「大阪」駅北側に位置する再開発街区「うめきた」2期暫定利用区域において、再生可能エネルギーの一つである帯水層蓄熱利用の実証事業を開始する。この技術は地下水を多く含む地層(帯水層)から熱エネルギーを採り出して、建物の冷房・暖房を効率的に行う技術で、省エネルギーやCO2排出削減、ヒートアイランド現象の緩和策として期待されている。大阪市域は熱需要の高い建物が集中し、地下は豊かな帯水層に恵まれていることから、帯水層蓄熱は地域特性に則した未利用エネルギーであると考えられる。
実証事業は10月の実証施設工事着手に始まり、平成29年1月に実証運転が開始される予定。業務用ビルの冷暖房用の熱源として、新たに開発した大容量熱源専用井戸から熱のみを採り出し、夏季に冷水を作ると同時に生じる排熱は地下に貯え、半年後の暖房用熱源として使用する。冬季には暖房用温水を作るとともに冷房用の冷水を蓄える。このように季節間での切換え運転により、地下に蓄えた熱を有効に活用することで、従来システム比で35%の省エネの実現を目指す。また、夜間電力で冷水を作り地下に貯え、昼間に利用することによる電力需要のピーク抑制も目指すとしている。