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朝日新聞社 今後5カ年の中期経営計画を発表
2016.10.24 14:03
経営基盤の強化と成長事業の創出が狙い 不動産事業単体では200億円の売り上げへ
朝日新聞社(東京都中央区)は5日、事業説明会を開催。そのなかで2020年までの5年間の事業を盛り込んだ中期経営計画を発表した。冒頭、渡辺雅隆代表取締役社長は今回の中期経営計画について「経営基盤の強化と成長事業の創出」が狙いであると明かす。そのなかでこれまでの新聞事業だけでなく、他事業の売上を伸ばしていきたいことを鮮明に打ち出し、各事業の方針の説明を行った。
渡邊氏は冒頭、「現在は新聞事業が売上の85%を占めているがこれを10%下げて、他の事業の売上を25%まで高めていきたい」と話す。
そのプロセスのなかでは不動産事業も大きな目玉だ。従来、新聞社における不動産事業は本社や支社などの建物管理が主だっていたが、この部門の強化も今回の発表では触れられた。
現在、同社で抱える開発案件では東西に2つの主要プロジェクトがある。同社発祥の地に竣工予定のツインタワープロジェクト「中之島フェスティバルタワー」が進行中で1棟目はすでに竣工していて、2棟目は来年3月に竣工の予定だ。また東京の銀座並木通り沿いの「銀座朝日ビル(仮称)」は来年中に竣工の予定となっている。これらのプロジェクトを通すことで更なる収益向上を図っていく構え。
渡邊社長は「2020年度までには不動産事業単体で200億円の売上にしていきたい」と明かす。
そのほかにも、ベンチャーへの積極的な支援など成長事業の創出を同社全体で行っていくことで、事業基盤の強化と成長の推進を図っていくことが明かされた。
これまで新聞事業を中心に展開を進め、ジャーナリズムの一角を担ってきた同社。その方針は今後も変わらないが、その強化を図っていくためにも今後5年で収益構造の変革を狙う。
「朝日新聞のこれまでのDNAを断ち切る」という宣言が果たして実現していくか否か。2020年度までの同社の事業展開、およびその成否には大きな注目が集まるだろう。