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[中小ビル]改修工事に密着

2016.12.26 10:55

駒込Kビル オーナーの努力が光る満室稼働ビル・外装リニューアル工事が完了
JR「駒込」駅から徒歩2分の「駒込Kビル」は平成3年の竣工。現在は一般の事務所や学習塾、ピラティス専門スタジオ、心療内科クリニックといったテナントが入居中、賃貸フロアは満室で稼働中だ。ビルの管理・運営業務を担当する小島雄一氏は、物件情報のチラシから自社のホームページ、そして賃貸借契約書やビル管理規定など、ビルに関わる書類やPR素材をできる限り自身で作成。ビル経営に対するひたむきな姿勢が、今日の満室稼働を下支えしている。
 「駒込は都心にアクセスしやすく、生活利便性に優れていることから、居住地域として需要の高いエリアです。その反面、オフィス立地としては都心と比べるとやや見劣りします。オーナーとしては入居テナントに対して最大限のサービスを提供し、快適な環境の中で事業に勤しんで頂きたいと考えています」(小島氏)
 入居テナントの満足度を高めるために、定期的な維持保全・リニューアルは重要である。「駒込Kビル」では10月から12月までの約2カ月間にわたり、外装リニューアル工事が実施された。工事は足場組みの作業に始まり、タイルの打診調査・高圧洗浄、シーリング、防水、塗装、コーティングといった工程を経て、12月中旬に工事が完了した。クラックや損傷が起きたタイルは張替え作業が行われ、新たに投入されたタイル(100mm×50mm)の数は1540枚に及ぶ。工事期間中、防水剤のにおいが元で入居テナントから要望があり、入居テナントの営業日を回避して作業を実施。日程を若干変更しながらも、概ね順調に工事を終了することができた。
 また、今回の外装リニューアル工事に併せ、一部フロアで窓ガラスの交換作業も行われた。その経緯について小島氏は次のように話す。  「入居テナントが空調設備を稼働させたまま帰宅してしまいました。私の自宅がビル内にあるためすぐに気づき、夜間に停止させたのですが、翌日になって入居テナントから『窓ガラスにヒビが入っている』という報告を受けました」(小島氏)
 窓ガラスには熱を通しにくい網入りガラスが採用されていたことから、室内と外部の温度差によってガラスが破損してしまったのではないかと小島氏は分析する。入居テナントが来店型の業態であり、窓ガラスの破損は客離れを引き起こしかねない。このため窓ガラスの迅速な交換を決意。窓枠のシーリング工事は建物の外からの作業となるため、足場を組んだこのタイミングに窓ガラスの交換作業も併せて行われた。
 外装リニューアル工事に要した費用は、ガラスの交換作業も含めると1000万円を優に超える。決して安い金額ではないが、小島氏は「長期的視点で改修スケジュールを組み、そのための資金を着実に積み上げてきました。これも、入居テナントに長くビルを愛用して頂くためです」と話す。同ビルでは外装リニューアル以外にも、エレベーター用モーターのベアリング交換、共用部へのLED照明導入など、様々な改修工事をこの数年の間に実施し、今回の工事をもってそれが一段落することとなった。小島氏は来るべき次のリニューアル工事に向けての準備を進めるとしながら、入居テナントの事業活動及び地域社会に貢献するビルを今後も目指していく決意を新たにしたとのことだ。




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