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タス 「不動産テック」の草分けが提供する不動産価格査定サービス「TAS-MAP」
2017.01.16 13:21
ビルの経営判断に貢献
出資会社であるトヨタ自動車、豊田通商、朝日航洋、三友システムアプレイザルの頭文字を取って平成12年に設立されたタス(東京都中央区)。不動産評価アプリケーション「TAS―MAP(タスマップ)」を展開しており、従来は住宅や土地の評価をメーンとしていたが昨年春より一棟物の事務所・店舗物件の査定サービスを開始した。
「タスマップ」の主な特長として挙げられるのは査定評価が出てくるまでの速さと利用料金の安さ、そして根拠とするデータの豊富さだ。
新事業開発部長の藤井和之氏は「IDを取得していれば、入力時間3分で査定を出すことが可能です。大手不動産情報サイトや不動産鑑定評価会社の三友システムアプレイザルと提携することにより蓄積された豊富なデータを分析し、査定の精度も高いものとなっています」と話す。価格に関してもひとつのIDにつき取得費用が3万2400円、月額基本料が1万800円必要となるが、1件の査定を出すための料金は土地建物評価(積算評価)3240円、マンション評価2160円、収益評価(1棟)6480円とこの手のサービスとしては非常に安価となっている。また、ウェブアプリケーションであるため、インターネットが利用できるWindowsパソコンがあれば追加の設備投資は必要ない。
「タスマップ」で出てくる指標は多岐に富んでいる。収益物件評価に不可欠な賃料・経費・利回りや35年間のローンシミュレーションや地盤に関する情報などとなる。
「これまでこのような査定を出すためには不動産鑑定士に依頼して書類を作成するなど非常に手間と費用のかかるものでした。この『タスマップ』は必要情報をあらかじめ把握していれば、入力するだけでレポートを取得することができます。豊富なバックグラウンドを評価して頂き、これまで多くの金融機関、不動産業者などにご利用頂いてきました。ビルオーナーにとっても利用して頂くことで所有不動産の売却や建替え、現状維持などの経営判断をする上で役立つ情報を得ることができます」(藤井氏)
同社では今後のビジョンとしてコンサルティングの役割も強めていこうと検討している。「不動産テック」の草分けとして、そしてビル経営に生かせるデータを有する会社としてその動向に要注目だ。