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アゴリア 意思決定はSNSで マンション管理組合・住民で情報を共有

2017.03.06 14:42

 マンション管理組合の理事長を務めた自身の経験から生まれたサービスが「Air Com(エアコム)」だ。開発したのは2014年12月に設立されたベンチャー企業のアゴリア(東京都千代田区)。代表取締役を務める多田隈雅氏は「マンション管理組合の意思決定を格段に早くするためにはITを活用するのが近道」だと判断した結果、マンション管理組合の運営に特化したSNSが誕生したのである。
 多田隈氏は「マンション管理組合の運営には大きな問題が3点ある」と指摘。1点目がマンション管理組合の役員の任期が1、2年程度しかないことだ。議事録を作成してはいるが、何らかの問題が発生した際、どのような話し合いがなされたのか記録がないこともある。運営面のノウハウ・知見の引き継ぎがなされていないのが現状。2点目が管理組合の閉鎖性だ。マンションで発生するトラブルはおおよそ共通しているが、各マンションの管理組合が連携していないのでトラブル解決に対する情報共有もできない。そして3点目が役員の多くがボランティアで参画しているため、時間がない。「3つの『ない』のせいで非効率な運営を強いられる」(多田隈氏)ため、管理会社に業務を丸投げすることになってしまう。
 一方「Air Com」はこの3つの「ない」を解消するため昨年9月に開発された情報共有サービスだ。理事会の時間を短縮し効率化するための「ネットde投票」、管理組合に生じる問題の解決策のヒントを探せる「Linkage」、手軽に情報共有・相談が可能な「ネットde議論」が主要機能となり、加えてマンション理事会・自治会と居住者間で情報共有できる「マンションde情報共有」機能を追加した。いずれもスマートフォンやタブレット端末でアクセスする。
 「ネットde投票」は理事会を開催する前に議題を共有、参加メンバーに事前に投票してもらうことで議論に要する時間を大幅に削減することが狙い。「Linkage」は他のマンションの理事に相談できる機能でマンション同士の理事が繋がることで問題解決のヒントが見つけやすくなる。
 「騒音問題で住民同士が揉めた時、他のマンションがどのように対応したのか、知見を有する方に相談すれば解決が早まる」(多田隈氏)  また、相談内容に対するコメントはハンドルネームで投稿でき、回答者コメントに対して「いいね・感謝・目からウロコ」の3段階で閲覧者が評価することができる。この評価で「マンション管理マイスター」ランキングが表示されるようになり、回答者のモチベーション向上に繋げる仕組みだ。「ネットde議論」はスマートフォン上で簡単に相談ができるもので、過去の履歴が残るので理事の代替わりがあっても引き継ぎがスムーズに行うことができる。
 これらの機能はビルにも応用可能。例えばオーナーと管理会社、テナント等の情報共有のツールとして活用できる。アクセス権限を設定する等、用途に応じてカスタマイズできる。




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