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LIFULL 事業戦略説明会を開催~不動産テックで既存住宅流通を推進~
2017.04.17 16:55
築古ビルをリノベーションして新社屋に
不動産情報サイト「LIFULL HOME'S」等の住生活情報サービスを展開するLIFULL(東京都千代田区)は12日、「LIFULLグループ事業戦略説明および新サービス発表会」を開催した。
設立から今年で20年を迎えた同社。中期ビジョンとして「世界一のライフデータベース&ソリューション・カンパニーへ」を掲げる。その具体的な目標として「不動産領域の『不動産テック』による更なる拡大と次世代事業の開発」、加えて「2025年までに100社100カ国体制の構築」を据えている。井上高志社長は「特に注力するのは中古住宅市場の活性化」と発言。同社では中古住宅購入における消費者の不安解消のため、既存住宅市場を活性化させる「LIFULL HOME'S住宅評価」の提供を今春より開始する。
国土交通省でも既存住宅・リフォーム市場の活性化に向けた政策目標を掲げていて、2018年4月より施行される改正宅建業法では不動産事業者が媒介契約、重要事項説明、あるいは売買契約成立の際に売主や買主に対してインスペクションの説明を行うことが義務化されている。この住宅評価サービスの提供により既存住宅の売主にはより早く正当な価格で売れる可能性を提供、買主には物件探しの効率化を提供する。また価格面でも双方に納得感を醸成する意味で有効だ。
すでにパートナー提携も進んでいて、建物検査・設備保証に関しては安心住宅みらいえ(相模原市南区)、シロアリ検査は日本長期住宅メンテナンス(大阪府高槻市)、価格査定マニュアルは不動産流通推進センター(東京都千代田区)、担保価値評価は全国保証(東京都千代田区)となっている。住宅ローンについては「まだ名前は発表できない」(取締役執行役員 山田 貴士氏)としたものの、大手金融機関と提携に向けた交渉が進んでいることを明かす。
加えて日米の主要都市の不動産価格指数を作成する「LIFULL HOME'S PRICE Index」を今月下旬よりスタートさせる。山田氏は「指数の公表が市場への情報提供につながる。取引の活性化、需要創出につなげていける」と自信を見せた。
発表会後には同社が新社屋として使用するため1棟リノベーションした築50年のビル内のツアーも開催。井上社長は今回の移転について「社員の発案がきっかけ」と明かし、次のように説明する。
「当社の理念としては既存建物もメンテナンスをすれば十分に有効活用が可能であるということ。しかし、前にいたオフィスはセキュリティのしっかりした築浅のインテリジェンスビルでした。そこをある社員に指摘され、私も気づき、今回の築古ビルの1棟リノベーションへとつながりました」
プロジェクト名は「ENGAWA PROJECT」(縁側プロジェクト)。オフィスを「新鮮な出会いと自由な発想を育む『つながりの発信地』」と定義。内と外がゆるやかにつながることが可能。内装も自由で快適な働き方を可能にする機能性を配慮したものとなっている。