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<照明・新技術>山田照明 ワークスタイルの変化に対応

2017.07.17 16:39

ライティングレールと無線調光で照明環境自由自在
 ワークスタイルが多様化し、既存の照明設備では対応するのが難しいのが現状。そうした中、単純に「室内を明るくする」だけに留まらない、ハイテク照明が次々と登場している。

 働き方が多様化し、社員個々の働き方にあわせた職場環境の変化、刷新に対して積極的な企業が増えている。一方で天井照明は一度施工させてしまうと簡単に取り替えができないため空間の変化に対応することが難しい。おのずと画一的な照明運用となり、空間構成の自由度が低下してしまうのだ。そうした中、今後の働き方や執務空間の内容に順応することを目的とし、施工不要で誰もが移動・増設を簡単に行え、様々な空間構成での運用を実現する照明機器が登場した。山田照明(東京都千代田区)が日建設計(東京都千代田区)、村田製作所(京都府長岡京市)と共同で開発した「アダプタブルライティング」だ。
 開発に至った経緯について営業開発部の上林勝宙氏によると「東日本大震災以降、省エネの観点から照明を見直す意識が高まり、天井照明の照度を調整し、タスクライトで机上の明るさを確保するタスク&アンビエント方式が定着していたが、天井照明の間引点灯や過剰な消灯が光環境を乱しているという批判もあった。加えてワークスタイルが大きく変化し、天井板を撤去したリノベーションビル等が登場したが、天井照明の位置を変えるのが難しく、思い通りのワークプレイスを構築するのが難しかった」という。これらの課題を解決するのが「アダプタブルライティング」である。
 天井にライティングレールを設置していればレールに沿って自由にLED照明を動かせるので空間の機能に合わせて最適な照明運用ができる。既存のライティングレールをそのまま使用することも可能だ。ライティングレール方式の課題であった複雑な調光対応についても照明器具内に内蔵された無線モジュールとエナジーハーベスト型(無電源)スイッチの組み合わせによって調光操作がワイヤレスで自由に操作できる。さらに自社独自のエコワイン無線への対応を目指し機能性を順次拡張していく予定だ。照明器具のラインアップについてはレール直付けタイプのベース照明と灯体を給電部からのワイヤーで吊ったペンダント照明の2タイプがある。ペンダントは一部を特注し小型スポットを取付けることも可能で、これらのラインナップの組み合わせによって空間の明るさや印象を変化させることができる。
 開発に際して特にこだわりを持ったのが器具の大きさと光の質である。開発設計部の昆野知彦氏によると「オフィスの中で全体配置したときに空間との調和を意識したミニマルデザインが特長。ベース照明はレールよりも細い幅20mmで一体感を重視した。またLEDは光の直進性が強く、眩しさが欠点といわれているが、最大40度角で見上げても眩しくないように設計している」と説明する。
 今後の、著しい働き方の変化にあわせて職場環境のあかりをユーザー自らが気軽に扱うことができる柔軟な照明といえそうだ。




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