週刊ビル経営・今週の注目記事
毎週月曜日更新
<本社移転>スペイシー 「東京」駅前にシェアリングモデル施設
2017.07.24 17:43
賃料の1.3倍の収益確保を想定
貸会議室マッチングサイト「スペイシー」を運営するスペイシー(東京都目黒区)は6月より、「東京」駅八重洲口前の「日本酒類販売新八重洲口ビル」に事業拠点を移転すると共に、同社が提案する「オフィスのシェアリング」を体感できるモデル拠点を開設した。移転先のビルは「八重洲二丁目北地区第一種市街地再開発事業」に含まれ、来年1月には建替えを予定しているが、代表取締役社長の内田圭祐氏によると「短期間でも収益性の高いビジネスであることを知ってもらいたい」と意気込みを語る。遊休不動産の利活用手段としてこの取り組みを周知していく腹づもりだ。
同社が賃借するのは地下フロアの一部と2階。地下フロアは約10坪の狭小スペースを3区画、2階は94坪となる。一部区画に同社がオフィスを設ける他、貸会議室とコワーキング等のシェアスペースを組み合わせた形で運営していく。内田氏によると「平日休日問わず、24時間365日稼働する施設」を目指すそうだ。2階には70席用のワークスペース1室、30席分の会議室を1室用意。会議室はスペイシーの執務室と兼用する。会議室利用としては需要が見込める朝から夕方までワンコイン会議室として貸し出すが、早朝から深夜にかけての未稼働時間もシェアできるような運営形態にする。
「当社の執務室が稼働しているのが9時~19時程度で、就労時間を過ぎるとパソコンや資料等を同フロア内にある倉庫に保管し、空き時間は静かに仕事ができるシェアオフィスとして転貸する。大手企業の労務管理が厳しくなった昨今、社内で残業ができない方の需要が見込める。これによって専有オフィスのシェア化を実践する」(内田氏)
加えてシェアオフィス利用者に対して更なる転貸も認めるという。内田氏は「一般的なシェアオフィスは自分が契約したブースを常時使用していない。そこで空き時間に外部貸出できれば、自分が使用した分だけ料金を負担すればよくなる」と説明する。例えば、シェアオフィスのブース使用料が10万円だとする。空き時間を貸し出して別途売上が発生すると利用料負担は軽減され、余剰収益を生み出す可能性もある。
一方、70名用の大型フロアは間仕切り等を設けず、テーブルを配置しオープンな場でミーティング等ができるようにする。秘匿性の低い英会話のレッスンや朝活、ミニセミナー等を複数で行える施設とする。大型セミナー・イベントの依頼があればそのまま場所貸しできる。施設の予約は会議室マッチングサイト「スペイシー」を活用する他、タブレット端末で無人受付が可能になるアプリも開発する。「スマートフォンを操作して予約を取る」手間をなくし、利用者の心理的ハードルを下げるためだ。また、クレジットカードから引き落としができるICリコーダーとも連動させ、料金支払いの手間もなくした。
移転後は内装造作工事を進め、利用者が定着するまでは就職活動等に勤しむ学生に無料で場所を開放する。内田氏は「すべての時間がシェアされることで施設利用者は安価に利用でき、施設運営者は稼働率が高まる。最終的にオーナーは賃料の1・3倍程度の収益が得られると考えている。モデル施設で試みたサービスをパッケージシステムとして様々なビルへ導入してもらいたい」としている。