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アスコット サービスレジデンスホテル不足解消
2017.08.07 14:14
多様化する宿泊ニーズに対応
東京五輪に向けて宿泊施設の需要がさらに高まることが予想される。観光客の多様な滞在ニーズにいかに対応するべきか。その1つの回答がサービスレジデンスといえそうだ。
シンガポールに本社を置くアスコット社のサービスレジデンス「サマセット銀座イースト東京」が7月7日に再オープンを迎えた。既存物件を昨年7月に取得した後、サマセットとして運営を開始。今年6月から7月にかけて客室内とレセプションエリアの改装を進めた。
アスコット社は今年3月30日に大手町エリア初のサービスレジデンス「アスコット丸の内東京」の運営を開始したことで注目を集めたが、実は日本での事業活動は2001年から開始しており「シタディーン」と「サマセット」ブランドを先行運営していた。改装オープンした「サマセット銀座イースト東京」は国内6物件目。
アスコットが日本で展開するサービスレジデンスは3ブランドあり、前述した「アスコット」は最上位ブランドで、トップビジネスエグゼクティブが主要ターゲットになる。「シタディーン」はレジャーとビジネス両方の旅行者を対象。「サマセット」はエグゼクティブとその家族・友人をターゲットにしたブランドで、スタイリッシュなしつらえに加え、住み心地・使い心地の良さを追求した。日本では「アスコット」と「シタディーン」が1泊から、「サマセット」は30日以上の宿泊に対応する。アスコットジャパン(東京都港区)の代表取締役社長のタン・ライ・セン氏によると「日本では3ブランドのみ展開しているが、世界では5つのブランドを展開しており、世界28カ国100都市以上で5万3000室以上を運営している。2020年までに8万室へ拡大する目標を打ち出しており、日本未上陸のブランドを含めて、日本での事業展開を強化していく方針」と説明する。
今回改装オープンした「サマセット銀座イースト東京」は地上14階、客室数は124室あり、客室は24㎡26室、30㎡56室、42㎡21室、47㎡21室の4タイプを用意した。利用料金は月額33万円~60万円。9月30日まで新装キャンペーンを実施しており月額25万5000円~43万5000円で利用できる。客室はブラウンを基調としたモダンな空間にしつらえた。全客室にベッド・ソファー、テーブル等の家具をはじめ、キッチンと調理器具一式、高速インターネットが備わっており「快適かつ自由度の高い住環境を提供する」(タン氏)を重視している。
一方、日本では短期・長期の両方で滞在ができる「サービスレジデンス」の認知度はまだまだ控えめ。タン氏はホテルとの違いについて次のように説明してくれた。
「1泊からの短期はもちろん、長期でも快適に過ごせる空間づくりがされている。キッチンや洗濯機等が備わっていることに加え、24時間対応のスタッフから必要なサービスの提供を受けられる『適度な自由さ』が評価されている」(タン氏)
国内外からの観光客のみならず、多様な宿泊ニーズに対応するサービスレジデンス。東京五輪に向けてホテル不足を解消する一手として注目が高まりそうだ。