週刊ビル経営・今週の注目記事

毎週月曜日更新

ハウスメーカーが中小ビル事業を拡大 パナホーム 住宅展示場に7階建て「ビル」開業

2017.08.21 17:48

 RC造が主流の中小テナントビル市場にハウスメーカーが参入している。旭化成ホームズ(東京都新宿区)が昨年8月に地上8階建てまで対応可能の「へーベルビルズシステム」の販売を開始する等、築年が経過した既存中小ビルの建替え需要の確保を目的としている。そうした中、1977年から多層階住宅事業「Vieuno」を展開するパナホーム(大阪市豊中市)は住宅展示場では初となる7階建てモデル施設を開業。普及拡大に向けて本腰を入れる。

 パナホームは7月1日、東京都墨田区の「錦糸町住宅公園」内に地上7建ての住宅展示場を開設した他、大阪市浪速区の「なんば住宅博」内で地上5階建ての住宅展示場を7月22日に開設。地上3階~9階建ての多層階住宅事業「Vieuno」シリーズの拡大に向けて本格的に動き出した。
 多層階住宅「Vieuno」は建築部材の多くを品質管理された工場で生産することで、高品質・短工期を実現し安定価格で建物を建てられるため、都心部に存在する既存中小ビルの建替え時の新たな選択肢として注目されている。同社は多層階住宅展示場を各地の都市部に展開しており、5階建て以上の展示場は全国5カ所に拡大。土地価格の高いエリアをターゲットとし、住宅だけでなく賃貸住宅や店舗・事務所を併用することで「収益を得ながら快適にくらす家」を供給している。 フロア数にゆとりがあるため、多世帯での同居はもちろん、賃貸住宅や店舗の空間を体感でき、家族それぞれの希望を自由に組み合わせた住まいづくりを提案する。
 錦糸町に誕生した多層階住宅は地上7階。延床面積693・17㎡(209・68坪)。街とつながる1階は店舗、2階・3階には店舗やオフィス、コミュニティスペースを設けた。また、4階には賃貸併用住宅のモデルルーム、5階~7階は都市生活を存分に楽しむための自宅スペースとし、7階建てならではの価値あるくらしを体感できるモデルハウスとなっている。想定される総事業費は3億円。月額賃料収益は1階店舗30万円、2階店舗・3階オフィスで30万円、4階賃貸住宅は1戸15万円×2戸で30万円、合計120万円。金利1%で融資を受けた場合、1カ月の返済は90万円。自己資金なく建設できるそうだ。
 事業開発本部本部長を務める平澤博士氏は「当社では3階建て以上を『多層階』として事業展開を進めている。2012年から本格的に事業展開して5年経つが、昨年度は年間約900棟受注し、毎年堅調に着工数を伸ばしている」と説明する。 国土交通省の調査によると2016年度の多層階住宅の着工数は東名阪8都府県に82・5%が集中しており、特に台東区・墨田区・江東区で着工棟数が増加している。これらのエリアは錦糸町展示場のターゲット商圏に該当する。同社では千代田区・中央区・台東区・文京区といった高度斜線制限がなく、不燃化建築が可能な「高層エリア」、北区・荒川区・江東区・文京区・豊島区といった準防火地域、3種高度エリアを「中高層エリア」と位置付け、3階以上の多層階住宅の認知度向上に努めていく。




週刊不動産経営編集部  YouTube