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奮闘する女性経営者 海外不動産投資をコンサルティング
2017.09.11 13:25
インバウンド投資にも対応
日本経済の更なる成長を支えていくために不可欠となった女性の力。不動産業界はその最先端に立っていて、5月30日に帝国データバンク(東京都港区)は「全国女性社長分析」を発表、不動産業界の女性社長比率は16・43%、業種別トップだ。なぜ起業に至ったか、事業内容、そして女性ならではのメリット、困難についてアンナアドバイザーズ(東京都渋谷区)の荒木杏奈社長に聞いた。
海外不動産投資の世界へ 自らの投資経験を軸に起業
「もともとSBIグループで働いており、その後、海外不動産投資をしたのがきっかけでした。当時は円高が進んでいて、1ドル=85円という為替相場でカンボジアの不動産に投資しました。これがきっかけとなり、2013年にカンボジアで起業し、2015年にカンボジアをはじめとした東南アジアへの不動産投資のコンサルティングを行うアンナアドバイザーズを日本でも設立しました」と語るのは荒木杏奈社長。
前職では海外調査などを主に行っていて、その経験を生かして自らも海外不動産投資家としての道を歩き始めた。安定はしているが利回りが低い日本の不動産に比べると、東南アジアの不動産投資は大幅な経済成長を見込むことができ高利回り。そのため、昨今ではアッパー層からの人気は高い商品となっている。
「当社では物件紹介はもちろんのこと、管理も自社で行っていて、カンボジアにもオフィスを設けています。日本在住の投資家にとってはカンボジア物件の情報やエリアの市況など情報に乏しいところがあり、かつ購入後も物件状況のリアルタイムでの把握は難しいところです。投資家ひとりひとりへの密なコンサルを得意としている当社では、購入後のフォローを欠かさないようにしています」(荒木氏)
海外では女性社長は当たり前 親身な説明を心がけ事業拡大へ
男社会と言われる不動産業界だが、女性社長であることのメリットや悩みはあるのか。荒木氏は「強いて挙げれば」とした上で、「企業経営者などがクライアントに多いので、彼らにとって投資のことから悩みなどを打ち明けやすいとは思う」と言う。また、国内の女性不動産経営者のネットワークにも加わっていて、「そのような情報交換の場に参加できることもメリットのひとつかもしれない」と話す。
「海外の不動産業界は『男社会』ではありません。不動産会社のトップとして一線で活躍する女性社長は多くいます」と指摘する荒木氏。「16・43%」という数字は「まだまだ」と映るが、裏を返せば業種別のトップを走る不動産業界でも女性が活躍できる余地は大きいと言えよう。
これからの事業展開について荒木氏は「コンサルティングを行える国を増やしていくとともに、海外不動産投資家が日本不動産へ投資する際のサポートも行っていきたい」と話す。特に東南アジアに限って言えば、カンボジアは地理的にも中心に位置している。「東南アジア諸国は日本に比べると不動産取引の法律が難しい面もあります。その不安を取り除いていくことができるのも、当社の役割だと考えています」。
日本不動産は価格が「弱含み」という声があるが、依然として投資用物件は低利回りで推移している。海外不動産投資は有力な選択肢だ。