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JLL 17年1-9月期の投資額は前年同期比6%増 投資意欲高いが売り物件枯渇
2017.10.23 12:41
JLL(東京都千代田区)が16日に発表した投資分析レポートによると2017年1―9月期の日本の商業用不動産投資額は前年同期比3%増の264億ドル。第3四半期は前年同期比20%減の69億ドルとなった。1―9月期では前年比で増加しているものの、第3四半期では前年比で減少している。一方、世界の投資額は前年同期比1%減の4510億ドルで、2017年の見通しを約6500億ドルとしている。
JLLの分析では日本国内の商業用不動産に対する国内外投資家の投資意欲は依然高いが、東京都心部は売り物件が限定的な状況が続いている。一方で都心部と比較して相対的に高リスクの東京湾岸エリアや横浜エリアでは物件売却に転じるプレーヤーも見られ、大型物件の売買が続いているという。上場リートは三菱地所物流リート投資法人が9月に新規上場するなど、物流セクターを中心にスポンサーからの物件取得は続いているが、スポンサー以外からの物件取得は少ない状況が続いている。JLLリサーチ事業部長の赤城威志氏は「日本の投資市場では、大型物件の取引が少なかったことから、四半期ベースでは前年同期比でマイナス14%の投資額減少となったが、本年1―9月期は前年同期比で6%増加(円建て)となっている。湾岸エリアでは大型物件の取引が続いており、都心におけるオフィスの大量供給を前にプレーヤーの価格目線が一致するケースが増えていると考える。今四半期の取引を購入者別・セクター別にみると、上場リートの物流セクターで三菱地所物流リート投資法人の新規上場や、希少な都心近郊の大型物件をスポンサー以外から取得する事例があった。ただし上場リートのスポンサー以外からの取得は少なく、物件価格の上昇によって物件取得が困難な状況は続いていると考えられる。物件価格の高止まりが続く中で物件売却を選択するプレーヤーがいる一方で、多様なリスクを享受する投資家層もいることから、年末にかけて売買は増加するものと思われ、2017年の年間投資額は増加傾向に推移するものと予測される」と語る。
なお、日本の不動産投資に特化した分析レポート「ジャパンキャピタルフロー」は11月上旬に発行予定だ。