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鹿島 コンクリートの対凍害性向上を実現
2017.11.13 12:04
鹿島(東京都港区)は、岩手大学、日本大学、デンカ(東京都中央区)と共同で、コンクリートの耐凍害性を向上させる手法を開発した。
寒冷地におけるコンクリートの凍害は、コンクリート内部に含まれる水分が凍結(膨張)と融解(収縮)を繰り返す際の圧力が影響して発生する。一般的な対策としてはAE剤(界面活性剤の一種)を生コンクリートに添加して内部に微細な気泡をつくり、膨張・収縮の圧力を吸収して緩和する手法が用いられている。しかしコンクリートの締固めや硬化などの過程で気泡が消失することがあるため、コンクリート全体に適量の気泡を残すには高度な技術が必要とされている。
鹿島ではAE剤に代わる添加剤として、デンカが開発した素材「カインドエア」に着目。カインドエアはアクリル系樹脂を原料とした微小な中空の球体で、締固めや硬化の過程で焼失しないという特徴があるものの、ひじょうに軽量なため、添加する際に舞い上がって確実に添加できないという課題があった。
そこで鹿島などではカインドエアを水溶性の袋に梱包し、袋ごと生コンクリートの中に投入する手法を開発。最適な量のカインドエアを確実かつ均一に添加することが可能となった。
この新手法で打設されたコンクリートは耐久性指数が従来手法に比べ約10%向上。また表層の対抗性が向上することも確認されている。2016年7月には東北地方で擁壁工事に適用し、施工後1年を経過しても凍害による劣化がなく、品質が保たれていることを確認した。