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矢野経済研究所 ビル管理市場に関する調査を実施

2017.11.13 11:53

宿泊施設など好調な需要領域もあるが採算性における課題も
 矢野経済研究所(東京都中野区)は9日、今年7月~9月にかけて行った「ビル管理市場に関する調査(2017年)」の調査概要を発表した。調査対象はビル管理事業者で、ビル清掃、設備管理、警備業務等の受託サービスを対象として、元請金額ベースで市場規模を算出した。なお、ビル管理事業者が請け負う修繕工事、改修工事、リニューアル工事等の周辺業務を含むが、当該事業者の異業種における売上高は含まない。

 2016年度のビル管理市場規模(元請金額ベース)は、前年度比97・6%の3兆7433億円を見込む。前年度に引き続き、宿泊施設の増加やリニューアルなどの建物修繕などの需要領域は好調であったが、収益性の観点からは課題もあることから市場規模は微減を見込む。昨今、ビル所有者の適正なコストへの理解も進み始めており、新規案件だけでなく更新案件についても積極的な価格交渉が行われているという。
 一方、2017年度のビル管理市場規模(元請金額ベース)は前年度比103・7%で3兆8804億円と予測している。ビル管理業務における人手不足の解消に向けた取り組みや価格交渉などが依然として課題であるとみられ、需要増と採算性というバランスを考慮すると横ばい傾向での推移が継続するものとみている。また、国内ではホテル業界が活況を呈しているが、宿泊施設に限らず全般的に採算性の低い案件もあることから、必ずしも収益に結びつかない厳しい案件も見受けられるという。今後はビル管理のサービス品質における差別化や高付加価値を提供しながらも採算性を重視した案件の獲得が課題であるものとしている。
 ビル管理市場の注目動向としては、ビル管理事業者は基本的にはビル管理事業における拡大を視野に入れているが、多くの事業者において長期的にはビル管理事業以外の業務への進出の可能性を模索している傾向がうかがえた。同調査に関連して2017年8月~9月に国内の主要ビル管理事業者(171社)におけるアンケート調査を実施したというが、その結果によると長期的に見た場合の今後の事業領域(単数回答)について「約半数の事業者で拡大が進む」と回答している。
 同調査では、大手事業者を中心にビル管理から派生する関連サービス領域への進出や異業種と協業を図るなど、本格稼働に向けた新規事業への様々な取り組みが行われているとみている。今後は海外における事業展開については着実に進捗しており、大手有力企業は現地企業と提携し、ビル管理事業を推進している一方で、日本国内の管理品質や管理手法といった水準がそのまま海外での仕様や求められる品質とはならないこともあり、国内のサービス基準を現地に適合させながらビル管理業務としてサービス提供、普及促進を行い、また現地法人との協業により新しい業態の形を創り出していくことで潜在的な現地の需要を掘り起こしていくことが求められるとしている。




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