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ミサワホーム×青木茂建築工房 リファイニング建築見学会
2017.11.20 17:34
「住宅メーカーとして足元をしっかり提案する事業を」
ミサワホーム(東京都新宿区)と青木茂建築工房(東京都渋谷区)は9日、東京都千代田区でリファイニング工事・解体現場見学会を開いた。
「リファイニング建築」とは、弱体化した構造躯体の耐震性能を軽量化や補強によって現行レベルまで向上させるとともに意匠転換や用途変更、設備一新を行い建物の長寿命化を図る手法。
ミサワホームは青木茂建築工房と2015年に業務提携し、コラボレーション第2弾となる今回はJR・東京メトロの「飯田橋」駅近くにある、築36年の旧耐震基準の元専門学校を構造躯体は再利用し、現行基準に合わせた耐震補強を行うとともに、学校建築から賃貸住宅へと用途変更するプロジェクトだ。新しく必要になった避難経路の確保のため1階の一部を減築する一方でエレベーターの新設やバルコニーの増築を行い賃貸共同住宅に必要な機能を加える。
ミサワホーム開発事業部長の佐藤徹氏は「出来上がったものを見学していただく前に、リファイニングという技術を見てほしい。我々は不動産の再開発もやっているが、用途変更するということが一番のポイント。新しいものを作るだけでなく、空き家問題や地域の経済問題などを勘案すると、再開発だけでは地域の問題解決にはならない。既存の商店街の再生等も含めて、我々はビルダーでもゼネコンでもデベロッパーでもない『住宅メーカー』として小回りの利く、足元をしっかり提案できるリファイニング事業を推進していく」と挨拶。
青木茂建築工房の代表・青木茂氏は「リファイニング建築というのは、出来上がるとほぼ新築と変わらないようになるからどのように構造補強したのか、なかなかご理解いただけない。この段階で見て頂くのが一番。特別な技術はむしろ使ってない。まだ伸び代はあると思っている」と見学会の趣旨を説明した。
「この工法を取るメリットは?」の問いに青木氏は「建築というものは躯体が3分の1、仕上げが3分の1、設備が3分の1。大まかにいうと躯体が残っていれば3分の1安くなる。解体は一部で済むからその分費用は少ない。約7割で出来るだろう。それから工期が非常に短い。スクラップアンドビルドではおそらく1年半以上かかるがリファイニングでは8カ月。30年以上前に始めた時は『良い点ばかりはおかしい』といわれた」と苦笑する。
見学会では「内部躯体調査報告書」、「耐震改修計画報告書」、「契約図書」等のファイルが用意されており測量図から新規基礎伏図など自由に閲覧でき、また壁に設置されたスクリーンにはプロジェクターで解体前の画像と完成後のイメージ映像が流された。参加者からの質問もスタッフが積極的に受けており、「リファイニング」周知への意気込みが感じられる実りある見学会だった。