週刊ビル経営・今週の注目記事
毎週月曜日更新
リマールエステート
2018.03.05 13:11
売買仲介プラットフォーム「キマール」をスタート 業務効率化と生産性向上に貢献
盛り上がりを見せる「不動産テック」だが、業界慣習が壁になることも多い。顕著なのは売買仲介業務。その分野の業務効率化を促す業務支援システムが誕生した。
リマールエステート(東京都中央区)は不動産売買仲介の効率化と生産性向上を実現し、仲介成約数を増加させる業務支援システムとして、売買仲介プラットフォーム「キマール」の提供を先月16日より開始した。これにより売買仲介事業者の物件資料や顧客管理をクラウド上で一元管理することが可能となる。
代表取締役社長の赤木正幸氏によると「従来のBtoBの売買においてシステムは少なく、ほとんどが紙やエクセルでの管理だった」と言う。住宅用の賃貸管理システムは多くの事業者が展開しているものの、「売買事業者の間での商習慣は独特のものがあり、システムを作る技術者サイドに不動産事業を理解できている人が少なかったことが原因では」というのが赤木氏の分析。
ただ紙やエクセルなどの管理によって起こる弊害も大きかった。
「たとえば不動産売買営業は属人性が強いもので、そうなるとライバルは同僚だったりします。情報の共有が社内でもできていなくて、最適な時期に最適な提案をできないこともしばしばあります。また資料に関しても紙ベースやメールでのやり取りがほとんどなので、煩雑な作業に忙殺されていることが多い」(赤木氏)
それらをクラウド上で管理することによって「雑務を自動化して減らし、そこで生まれた時間を資料の作り込みなど新たな付加価値を生む『コンサルティング』に費やしましょう」(赤木氏)というのが「キマール」のコンセプトだ。
リリースして間もないが、「手ごたえは良い」(赤木氏)。赤木氏自身が元大手不動産会社での業務経験を持ち、業界慣習や不動産知識を技術者に伝達する。それによって、不動産を理解したシステムが実現している。
今後早い段階で「チャット機能」などの機能追加を行っていきたい考えだ。また不動産情報と顧客情報の統合的な管理が実現することで赤木氏は「それらのデータがビッグデータとなり、不動産売買仲介業者にとっては、AIの活用含め新たな付加価値提供の可能性が増していくきっかけになるのでは」と話す。
「キマール」の展開は不動産売買仲介業務に一石を投じそうだ。