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ブロックチェーンを活用した不動産登記申請支援サービスがスタート

2018.05.14 10:32

EAJとZWEIの協業 多くの課題解決に寄与

 金融業界で研究が進んでいるブロックチェーン。不動産業界においてもいくつかの企業で実験的な導入が進む。そのなかでEAJとZWEIはブロックチェーンを活用した不動産登記申請支援サービスの提供を開始した。不動産の分野における様々なブロックチェーン活用があるが、早くも「本丸」への出陣が始まった。
 エスクロー・エージェント・ジャパン(東京都千代田区、EAJ)と不動産関連アプリケーションやWEBサービスを提供するZWEISPACE JAPAN(東京都千代田区、ZWEI)はブロックチェーンを活用した権利記録付きの不動産登記申請を支援するサービス提供を開始する。
 ブロックチェーンは金融業界を中心に最先端技術のひとつとして期待されているもの。不動産取引における活用可能性に関する取り組みとしては既に両社独自に実証実験を行い、活用することのメリットを明確にしてきた。日本において米国発祥のエスクローサー(第三者預託)サービスを国内不動産取引に取り入れてきたEAJと、不動産ブロックチェーン技術に関する特許を取得しスピーディーにグローバル展開しているZWEIが、不動産取引決済から権利保全までの領域で協業する。
 EAJは不動産取引におけるブロックチェーン活用に関する実証実験において、将来の活用可能性を見据えたうえで米国の権原保険会社の事業モデルにならい、不動産取引決済に関係する当事者の時間的な負担軽減を目的とした非対面決済サービス「H`OURS(アワーズ)」をリリース。また同サービスの機能強化のひとつとして重要事項説明の受領に関する代行サービス、そして日本で初の不動産取引保証等の提供を開始している。
 ZWEIは既にパートナーの不動産会社と連携して、ブロックチェーンへの権利記録を行っている。不動産登記の公正性について司法書士と連携し、豊富な経験と一元的で効率的なオペレーション実績とシステムとを統合して提供し、業界への安全かつスピーディーな導入を推進している。
 従来、日本における不動産取引決済では資金決済の後に登記申請をするためには法務局で登記が完了するまでに1週間程度のラグがある。この間は第三者対抗要件を具備しない不安定な状態が続く。また登記申請における受付の優先順位確保については司法書士の属人的な職責に頼る傾向がある。
 昨今の不動産取引では、売買代金などの送金面においては24時間365日、場所・時間を問わず取引決済が可能な環境が整いつつあり、法務局にて登記を受付していない深夜や休日、祝祭日での取引の安全性が課題と考えられている。
 今回の取り組みでは不動産取引における実体法としての権利移転は資金決済と同時にブロックチェーンに権利が記録されることにより権利を保全し、併せて手続き法としての登記受付の優先順位確保は登記申請の自動化により優先権を確実なものとし、不動産取引の安全性と利便性を高めていく。具体的には司法書士の属人的な取引保全の負荷を軽減し、社会問題となっているなりすましや二重売買の防止、遠隔地における相続、空き家問題に係る登記手続きのコスト軽減に寄与していく。




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