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JLL 低位な空室率を維持かつ将来供給を着実に消化

2018.08.20 16:54

 今月13日、総合不動産サービス大手のJLL(東京都千代田区)は、世界主要都市のオフィス賃料動向を示す独自の分析ツール「オフィス プロパティ クロック(不動産時計)2018 年第2四半期」を発表した。
 「オフィス プロパティ クロック(不動産時計)」とは、世界の主要都市の賃料動向を時計に見立てて「見える化」したJLL独自の市場分析ツールで、四半期ごとに発表している。賃料が概ね(1)賃料下落の加速、(2)賃料下落の減速(底入れ)、(3)賃料上昇の加速、(4)賃料上昇の減速(頭打ち)、というサイクルで変動することを前提とし、現在の賃料がそのサイクルのどこに位置するかを表示することで、世界主要都市の賃料サイクルを示している。  また同社は東京のAグレードオフィス(延床面積が3万㎡以上、基準階面積が1000㎡以上と定義し、対象エリアは都心5区)の賃料は、2016年第1四半期から9四半期連続で「賃料上昇の減速」フェーズにあると指摘。賃料は引き続き、緩やかに上昇を続ける見通しである。また大阪のAグレードオフィス(こちらは延床面積が1万5000㎡以上、基準階面積が600㎡以上と定義し、対象エリアは中央区と北区)賃料は16四半期連続で「賃料上昇の加速」フェーズを維持しているとのことだ。
 リサーチ事業部長の赤城威志氏は「2018年第2四半期のGDPは、速報値ベースで年率換算1・9%の成長となりました。第1四半期に9期ぶりのマイナス成長を記録後、日本経済は再度拡大に転じています。特に内需が牽引しており、個人消費の増加のほか企業の設備投資が予想以上の伸びを示しました。これは設備投資を含む企業活動全般を反映するオフィス市場においても同様で、今期東京Aグレードオフィス賃料は引き続き上昇傾向を示しました。また、今後3年間続くオフィス大量供給の中、企業のオフィス需要は従前の予測以上に強い状態を保っており、市場は低位な現状空室率を維持しつつ、かつ将来供給を着実に消化している状況です。一方主要地方都市については、大阪・名古屋・福岡を中心に限定的な新規供給を背景として高い賃料上昇が観測されています。米中貿易摩擦による世界経済への影響が懸念される一方で、日本国内の内需拡大が期待される中、東京Aグレードオフィス市場は緩やかながらも2018年を通して賃料上昇傾向を呈していくものと見込んでいます」と指摘する。




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