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森ビル 地上100mでブドウ収穫
2018.08.27 21:29
地上約100mの高さのビル屋上に実ったのはブドウ―。
森ビル(東京都港区)が運営管理する「赤坂溜池タワー」は赤坂エリアの中心に位置する25階建の事務所、住宅、店舗からなる高層ビル。22日、同ビル屋上で今年実ったブドウの収穫作業が行われた。
同社では積極的に都市緑化を推進しており、その一環として所有ビルで様々な屋上緑化を行っている。
同ビルは2000年9月の竣工以来、屋上の四隅に花壇を設けており、育てやすい丈夫なハーブ類を中心に様々なグリーンが植えられている。ローズマリー、フェンネル、フェイジョア、メギ、シルバープリペット、モクビャッコウ、花をつけるユリオプスデージー、百合、ペチュニア、実のなる種類ではオリーブやイチゴの木などが季節ごとに様々な顔を見せ、オフィスワーカーや居住者の憩いのエリアを彩っている。 屋上の花壇のため土の量は少なく、花壇の地中の深さは約30センチほど。ブドウの木の根は地中に浅く広がるため、屋上で育てやすい植物のひとつだ。
今年の夏は気温が高かったため、例年かかっていた「うどんこ病」が発生せず、無農薬のブドウの収穫ができるという。
同社広報室の山下佳美氏は、「1年の移り変わりを楽しんで頂けるような、また見て楽しい庭園だと思います。ブドウの葉や実は棚をつたい、グリーンの天井となるのでこの屋上で日陰を作ってくれますし、収穫の楽しみもあります。今年は降雨量が少ないため、例年より甘みの強いブドウができました」と語る。
この屋上庭園を日々管理しているのは「風のみどり塾」(東京都港区)。専属ガーデナーの加藤沙和氏は、「今年は病気に強い品種ということで初めて『シャインマスカット』を植えました。屋上は日当たりが良く、風通しもよいので植物が元気に育つのに適した環境と言えます。都会だからこその緑の楽しみ方があると思います。今後もこの庭園をいろいろな方に見てほしい」と語る。
コンクリートで覆われた赤坂の地上から100m頭上にある屋上は、季節ごとに実りがあり自然の豊かさを感じる空間がある。このような屋上庭園が都心の各ビルにあれば、ヒートアイランド現象緩和等に加え、日々仕事に追われ季節を感じる余裕もないオフィスワーカーにも憩いとなるだろう。