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GAテクノロジーズ オンラインで完結!中古不動産のクラウドファンディングサービス

2018.08.27 22:43

投資口価格1万円で利回り年8% 開始5分で募集口数を達成
 中古マンションを中心に不動産売買・仲介業を展開する、GAテクノロジーズ(東京都渋谷区)。8月2日には同社が運営する不動産流通ポータルサイト「Renosy」内で、不動産特定共同事業法に基づく「Renosyクラウドファンディング」の第一号案件の募集を開始した。わずか5分で、予定募集口数の1540口を達成したという。これほど同社のサービスが、人気を集めている理由は何か。同社の富本耀月氏、清水絢子氏に聞いてみた。
 「都市部の駅近の地域で中古区分のワンルームマンションを購入する場合、最低でも1000万円以上、3000万円近くかかる物件もあります。それを購入するならば、ローンはほとんどの場合不可欠。しかもその金額のローンを取り組める方は上場企業をはじめとする安定した企業に勤めており、年齢も25~45歳の比較的若い年齢層に限られてしまいます」と語る富本氏。
 これは成人の1割程度で、ターゲットが狭い。そのため一口1万円から始められるクラウドファンディングを提供し、不動産投資の間口を広くした。これまで不動産投資が難しかった方や、投資金額が大きくて躊躇されていた方も、参加していただきたいと思ったのがクラウドファンディングを始めたいきさつだ。
 同社は、不動産と併せてテクノロジーが強み。出資者との間で締結される契約書などを電子化し、紙でのやり取りをなくせば、1口1万円からのクラウドファンディングも実現できると判断。取引の電子化に伴いシステム開発が必要になるものの、不動産投資の意向を持ちながらローンの審査が通らなかったために断念しなければならなかった人も一定数あった。それで投資の小口化には、十分な需要があると踏んでいた。
 8月2日のクラウドファンディング募集開始後、第1号案件への応募は400名を超えた(2018年8月9日13時現在)。応募はファンドの募集開始翌日までに300名超集まり、それからは10名超ずつ日々増加したという。ではどのような人が、このクラウドファンディングに集まったのだろう。
 「クラウドファンディングのお客様の年代は幅広く、20~30代の若い世代から、50~60代超えの方です。少額・短期での運用を可能にしたことで顧客層が非常に広がったと感じます。もともと弊社の行っていた投資用物件の販売については、ワンルームタイプ中古区分マンションを提供。不動産投資では比較的安価であったことやサービスにテクノロジーを活用しているところ、また長期運用をベースとしていたことから、20~30代の若いお客様が多くを占めていました。ローンを組むことで、手元に資金があまりなくてもはじめられるのが魅力なのでしょう」と清水氏。
 また集客やアフターケアの部分で、テクノロジーを活用。「電話するのが苦手」な若い世代のために、アプリを採用した。20~40代の利用者に、非常にマッチしたビジネスだといえよう。
 さらに、クラウドファンディングの8%という年利も魅力的だ。これについては、どのように捻出しているのだろう。  「まず弊社は、インカムゲインが安定しています。賃貸物件の管理を行う部署を自社で持つことで客付けについても自社で責任を持って行い、90%超の入居率を維持しています。賃貸の管理手数料についても業界他社と比べて非常に安く、1080円/月で請け負っています。こうしたことから運用物件から安定的に賃料収入があり、分配金を出しやすくなっています」(富本氏)。
 またキャピタルゲインの源泉となる物件の売却についても、同社の販売管理システムを活用。過去の実績から「このお客様にはこの物件をご提案するのが良い」といった目安が出せる。システムによる推薦をもって提案することができるので、成約率が高い。それも、ファンドの安定した運用益となっている。
 さらに同社は、クラウドファンディング含め、物件の所在地や詳細についても開示。これは、お客様に投資の安心感をもっていただきたいからだという。
 「社内の物件の選定システムに基づき、安定して利回りの得られる物件を選定しています。また物件の仕入れ価格をはじめ、詳細情報を開示。利回りやファンドの内容を含め、できるだけ透明性を確保することを心がけております」(富本氏)  「当社の薦めている物件については、不動産特定共同事業法の枠組みの中で詳細をお客様にお伝えしています。お客様は、クリアで客観的な不動産物件を説明してくれることを求めているようです。テクノロジーの活用は、そのニーズに相性がいいのでしょう」(清水氏)
 同社のユーザーの間口を広げたビジネスと、透明性を求める姿勢。これらが評価され、今回のクラウドファンディングの成功に結びついたのであろう。




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