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ワークスペース設置場所が多様化

2018.09.14 11:08

 従来型のオフィスとは異なる、新しいスタイルのワークスペースの設置が広がっている。その設置場所もオフィスビルに留まらず、空きスペース活用や業態の多様化、新たな収益源確保とも合致して多様化しつつある。ホテル内とデパート内に設置された事例をお伝えする。
京王プラザホテル内に充実のサテライトオフィス
 京王電鉄(東京都多摩市)は、10月17日に「京王プラザホテル多摩」2階にサテライトオフィス「KEIO BIZ PLAZA」をオープンする。同施設は都の「サテライトオフィス設置等補助事業」の第1回採択事業となる。
 同施設は会員制となっており、ICカードを使っての入退室管理や、受付スタッフの常時配置、プライバシーに配慮したレイアウトなどセキュリティ対策を施し、利用者が安心して働ける環境を整備。月単位や時間単位での料金設定、ビジネスをサポートする設備やサービスを提供し、幅広い利用形態に対応している。
 また施設を利用したワークショップやセミナーを実施しつつ、近隣企業、多摩ニュータウンエリアで創業した人、大学関係者、地域のシニア層や子育て世代など、様々な人が利用し、交流、協働、技術刷新を促すことにより、沿線の活性化をも目指すとしている。
 施設のアクセスは、京王相模原線「多摩センター」駅から徒歩3分となっている。
コミュニティ機能強化を目指す近鉄百貨店  近鉄百貨店(大阪市阿倍野区)は、三重県四日市市にある「近鉄百貨店四日市店」の改装に際して、館内にサービスオフィスを導入すると発表した。グランドオープンは11月20日の予定。  改装後の同店のコンセプトは、新たな価値をもたらす存在になることを掲げながら「ヒト・モノ・コトをつなぐ街のプラットフォームをめざす」としている。このコンセプトにおけるコミュニティ機能の強化として、サービスオフィス「SYNTHビジネスセンター近鉄四日市」を導入することとなった。
 サービスオフィスの導入は、近鉄百貨店が掲げる「新たな事業モデル創出」の一環としての位置付けでもある。今回の事業モデルのパートナーに選んだのは、大阪堂島で開業し質の高い多様なビジネスサービスを提供するSYNTH(大阪市北区)。SYNTHが展開するレンタルオフィス・貸会議室のフランチャイズ「SYNTHビジネスセンター」を7階にオープンさせることとなった。
 施設はレンタルオフィスと貸し会議室の複合型で、意匠設計はOPEN A(東京都中央区)が担当し、上質なオフィス空間を提供する。
 レンタルオフィスには、オフィス器具、通信設備、セキュリティ環境を整えており、オフィス開設時に負担となる初期費用を削減。受付には係員が常駐し、不在時の来客対応や郵便物の受け取りも行う。貸会議室は、4名用の小部屋から最大57名用の大部屋まで7室を設け、会議だけでなく、研修、セミナー、試験会場、教育関連の教室など多様なニーズに対応する。  単なる売り場縮小ではなく、新しい事業の導入という前向きな姿勢が窺える。




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