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MACオフィス 働き方改革でオフィス内装に需要 フリーアドレス導入を切り口に

2018.09.18 11:46

 オフィス内装でも進む「働き方改革」。オフィスデザインを事業に据える企業にとって新しい需要が増えてきている。そのなかで、果敢にその需要を取り込もうと1990年より事業を開始し、年間で400件の施工工事を受注、年商20億円のMACオフィス(大阪市中央区)。同社の歴史をさかのぼると、現代表取締役社長CEOの池野衛氏の両親が1966年に文房具屋を創業したのがきっかけ。池野社長も商社に務めた後、家業へ転身。再建に向けて事業を行うなかで、「病院でのオフィスレイアウト変更を受注したのがきっかけ」だったという。2000年以降、既存のクライアントを中心にして徐々に案件を増やしていったのが始まりだった。
 足もとで需要が伸びているのが「働き方改革」を動機とした「フリーアドレス」の導入だという。2018年4月から7月の3カ月間で取り扱いのあった212社中、フリーアドレス導入案件は全体の約50%に上った。「『働き方改革』需要は3年前より顕在化してきた」と話す営業推進部設計デザイン課課長の東場晴信氏。企業の業種について「最初はIT系企業が中心でしたが、最近では老舗企業や、営業マンが多い職場などで積極的に導入して頂いている」と説明する。
 その背景にはノート型パソコンの普及や情報のデータ化、ベーパーレス化が進むなかで、扱う紙資料が減ったことが挙げられる。ただ事務職など固定席に座っていることにメリットがある場合には、部分的に導入しないことも選択肢となる。導入企業でも一気に推し進めるのではなく、フリーアドレス導入の際に机などのオフィス家具の入れ替え、その後個人ロッカーの導入などと進めていくことが多いという。
 東場氏は「フリーアドレスのメリットはコミュニケーションの円滑化を促せること」だという。自由に席を移動できることで、部署ごとの縦割りではなく、横のコミュニケーションが活発になっていくことにも期待できる。
 同社ではこのような「フリーアドレス」の導入とともに、オフィス内での企業ブランディングについての相談を受けることもあるという。「様々な事例がある」というが、そのなかでも特徴的な案件なのはたとえばチェックインカウンター風のデスクだ。固定席の事務職のスタッフが席に座る。「社内の部署間の調整などが多い職務なので、全てのスタッフが気軽に聞ける雰囲気を望まれた」(東場氏)とのこと。またバーカウンターをイメージしたオフィスや、家具をオフィス用途として導入することもあるという。働く場所であるオフィスに「遊び」を取り入れることで気持ちの切り替えにも役立つ。
 このようなオフィスレイアウトの流れは主に欧米からきたものだという。グーグル社のオフィスなどは著名なモデルだ。最近では時間と場所を自由に選択できる働き方、「Activity Based Working(アクティビティ・ベースド・ワーキング)」という考え方も輸入されてきているという。日本の「働き方改革」は今後さらに深耕していきそうだ。
 このような「働き方改革」はオフィスデザインの事業者にとっては追い風となっている。が、業界内を見渡すと「レッドオーシャン」のようだ。経営企画部部長の下之段剛氏は「オフィス内装を行う企業は東京だけでも80~100社ほど存在します。そのため競争環境は非常に厳しいものです」と解説する。
 そのなかで同社は新しい挑戦も行っている。そのひとつが『オフィス移転と残留の比較検証サービス』だ。
「近年、ビル市場は活況です。業績の良い企業からはオフィス拡張の需要もありますが、ビルに空室が少ない状況にあります。そこで当社の『オフィス移転と残留の比較検証サービス』では移転と残留の2パターンでコスト面、機能面を比較検討し、双方のメリット・デメリットを出してクライアントの決定プロセスでアドバイザーとなるものです」(下之段氏)
このサービスのポイントは2つある。ひとつは診断を無料で提供していること。もうひとつは仲介会社と連携して、条件交渉まで担っていることだ。「一定の規模があり、かつ社会的に知名度の高い企業が対象とはなりますが、有名テナントが入居すればビルのブランディングにもつながります。その逆もしかりで、退去すればその価値が低下しかねません。そこを武器にして、条件交渉を実施し、その結果も『オフィス移転と残留の比較検証サービス』の診断のなかに盛り込んでいます」(下之段氏)。移転にせよ、残留にせよ、企業にとってメリットは大きい。
 このサービスはMACオフィスにとっても新しい挑戦のスタートと位置付けている。「当社が軸を置く場所は『働く環境』。企業にとって移転は内装や家具のリニューアルはもちろん、名刺やHPなど様々な場面で需要が出てくる。クライアントのイコールパートナーとして、今後も果敢に挑戦していきたい」(下之段氏)。
 働き方が変わるなかで、日々ニーズは多様化している。それにどのように答えていくか。アイディア、サービス双方で注目は高い。




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