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空室から仮想通貨を生み出す 日本初の活用サービススタート
2018.09.25 15:20
投資先として注目を集める仮想通貨。不動産業界でも売買に活用する動きがある。この仮想通貨から新しい空室活用手段が生まれた。
ゼロフィールド(東京都港区)は今月7日、仮想通貨のマイニングマシンによる空室活用サービスを開始した。同様のサービスは日本で初、世界でも類例が見られないものだ。
「マイニング」とは仮想通貨を発行するために欠かせない作業のひとつ。高速での計算処理を実施できる「マイニングマシン」を利用することで作業を行う。これらの作業によって「ビットコイン」などの仮想通貨が発行される。この機材は個人でも購入することが可能で、経営者などが注目して購入しているという。
マイニングマシンが設置される一般的な場所は工場や倉庫。従来のマイニングマシンは使用電力が大きいため、家庭用の低圧電力より安価である高圧電力の方が効率的と考えられてきた。しかしゼロフィールドでは消費電力の削減に成功。これにより、マンションやアパートなどの空室活用として、マイニングマシンの設置が可能となった。
サービスの流れとしては、機材を購入し、空室に設置するだけ。仮想通貨の口座となる「ウォレット」の登録は各自必要となるが、マシンのメンテナンスなども任せることができる。コストは機器代金と月々のメンテナンス費用となる。代表取締役の村田敦氏は「新しいサービスだけに、今後不動産オーナーへの周知を図り導入スピードを見極めていきたい」と話す。
気になるのは仮想通貨市場だ。村田氏は「マイニングで得た通貨を売却することで収益になるので、各通貨の足もとの価格が重要になる」と話す。たとえば「ビットコイン」は昨年末、大きな上昇を見せたが、足もとでは1ビットコインは6400ドルほどで推移する。反転上昇の機運はあるのか。
「米国で仮想通貨ETF(上場投資信託)の組成の動きや大手金融ファンドが仮想通貨を取り扱う動きが出てきています。これらはまだ実現していませんが、そのような動きが具体化すれば仮想通貨市場に機関投資家の資金が流入してくるので、仮想通貨市場は一段高になるとともに、現在の価格変動の波が和らぐのではないかと言われています」
新しい空室活用サービス。不動産業界の新しい「ノウハウ」になるか否か。価格動向とETFなどの流れにも注目しておきたい。