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JR九州 ビル事業再編しHD化 熊本駅でビル開発など不動産シフト鮮明に

2019.01.08 14:18

 鉄道一本槍からの脱却を図るJR九州(九州旅客鉄道)。ドル箱路線を持たない旧国鉄の鉄道路線維持困難が取り沙汰されるなか、JR九州が出した回答は不動産強化による経営多角化の加速だ。

駅ビル・ホテル事業再編で不動産事業強化
 九州旅客鉄道(福岡市博多区)が、駅ビル事業をホールディング(HD)化すると発表した。
 先月25日開催の取締役会において、九州旅客鉄道の100%連結子会社が実施する共同株式移転により、駅ビル事業およびホテル事業について、新たに中間持株会社(ホールディングス)を設立することを決議した。
 これに先立ち、子会社の小倉ターミナルビル(北九州市小倉北区)を駅ビル事業とホテル事業に分割することも決議され、12月26日には子会社の「JR九州ステーションホテル小倉」(北九州市小倉北区)が設立された。2019年4月1日には駅ビル統括会社「JR九州駅ビルホールディングス」(福岡市博多区)とホテル統括会社「JR九州ホテルズアンドリゾーツホールディングス」(福岡市博多区)をそれぞれ設立する。
 管轄移管とともにビルを保有する子会社の名称変更も行われる予定で、前出の小倉ターミナルビルは「JR小倉シティ」に、長崎ターミナルビル(長崎県長崎市)は「JR長崎シティ」に、鹿児島ターミナルビル(鹿児島県鹿児島市)は「JR鹿児島シティ」にそれぞれ商号変更されるとともに、いずれもJR九州駅ビルホールディングスの傘下に入る。
熊本駅には新ビル開発 駅舎建設とともに攻勢
 また九州旅客鉄道は12月21日、「熊本駅北ビル(仮称)」を開発すると発表した。
 同地はJR「熊本」駅白川口駅前広場の北側に隣接している。広場南側では2021年春の開業を目指し、商業施設とホテルを主体とした「熊本駅ビル」が建設中で、「熊本駅北ビル(仮称)」は駅ビルと相互に賑わいを創出する商業施設、恵まれた交通アクセスを生かしたオフィスの複合施設として、駅ビルより早く2020年冬の開業を予定している。
 建物は地上12階建て。延床面積は1万7000㎡で、このうち商業施設部分は3500㎡、オフィス部分は1万㎡となっている。1階から3階を商業施設として、4階以上をオフィスビルとして利用する。着工は2019年夏を予定している。
鉄道の歴史も受け継ぐ門司港駅は活性化へ
 1988年に鉄道駅として日本で初めて重要文化財に指定された鹿児島本線「門司港」駅では、約6年間の保存修理工事を経て3月10日にお披露目される。一部の工事は秋頃までの予定。
 オープンに伴い、「スターバックスコーヒー 門司港駅店」と「みかど食堂 by NARISAWA」が営業を開始する。「スターバックス」は、旧三等待合室の復原。「みかど食堂」は、大正時代から昭和後期まで同駅で営業していた「みかど食堂」を再興。JR九州の観光列車「或る列車」でスイーツコースを演出する東京都港区のレストラン「NARISAWA」の成澤由浩シェフが監修している。




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