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三菱電機 ZEB運用をシミュレーション 消費エネルギーと快適性を予測
2019.02.18 17:59
三菱電機(東京都千代田区)は、ZEB竣工後のビル運用時の消費エネルギーとビル内の快適性を予測する「ZEBを運用するためのビル・シミュレーション技術」を開発した。これにより、ビル設計時の省エネ目標設定値を超えないような省エネ性と快適性のバランスのとれた運用ができるので、エネルギー管理業務を省力化できる。
政府は2018年7月に策定したエネルギー基本計画の中で「2020年までに国を含めた新築公共建築物などで、2030年までに新築建築物の平均で、ZEBを実現することを目指す」との目標を掲げるとともに、ZEB実証事業へ補助金を支給するなど、ZEBの普及に力を入れており、ZEB市場は今後も拡大することが見込まれる。さらに、省エネだけでなく快適性・健康性・知的生産性の向上のための室内環境の質向上も求められている。
ZEBは、設計段階に評価され、年間の消費エネルギー収支を「設計値」として想定する。竣工後、エネルギー管理者は、設計値の範囲内に消費エネルギーを抑えることを求められ、運用中に快適性を確認して、必要に応じて運転状況を再設定するなど、省エネ性と快適性のバランスを保った上でビル管理を行うことは容易ではない。
同社は、竣工後のビルのエネルギー管理業務の省力化に向けて、運用時の消費エネルギーとビルの快適性を予測する技術を開発した。これにより、運用時の消費エネルギーの予測値が、設計値の範囲に収まるか、加えて、省エネ性と快適性のバランスがとれているかの確認ができるため、事前に評価した運用計画に基づいたビル設備の運用が可能となる。
建物情報や設備情報を格納したBIMを入力することで、同社設備独自のビル・シミュレーターを対象ビルごとに生成する。ビル・シミュレーターには、気象情報、設備の運転スケジュールや設備の制御設定を入力することができ、ビルの運用に即した消費エネルギーを高精度に予測することができる。また、消費エネルギーに加え、温度・湿度・風速などからビルの快適性も同時に予測できる。
ビルのエネルギー管理者は、ビル設計段階の設計値とビル・シミュレーターによる年間消費エネルギーの予測値を対比的に表示しながら消費エネルギーの分析を行い、フロアや部屋の用途、設備種別といったさまざまな切り口で比較することにより、設計値と予測値で乖離(かいり)が大きいエリアや設備を容易に特定できる。運用計画の見直しが必要となった場合、空調や照明などの設備の運転スケジュールや制御設定を補正し、再度、シミュレーションすることで、予測値が設計値の範囲内に収まるかを事前評価する。快適性も同時に予測することで、省エネ性と快適性のバランスがとれているかを確認することが可能となり、エネルギー管理業務を省力化できる。
また、事前評価した運用計画に基づいて実際のビル設備を運用するが、ビルの状態はエネルギー実績画面や3次元温度分布画面により、容易に把握することができる。
ビルのエネルギー管理者が、設備の運用計画を事前に評価できるようなエネルギー管理の実現により、省エネに貢献するとしている。