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森ビル/六本木ヒルズ自治会 「六本木ヒルズ震災訓練」実施

2019.03.18 14:44

増加する外国人居住者や訪日観光客への対応を目的とするブースも設置

 東日本大震災から今年で8年を迎えた。人々の防災への意識も薄れつつあるなか、森ビルと六本木ヒルズ自治会の共催による「六本木ヒルズ震災訓練」が開催された。何時発生するか分からないからこそ、今回の様な震災訓練は重要である。

 東日本大震災から8年を迎えた今月11日、森ビル(東京都港区)と六本木ヒルズ自治会の共催による「六本木ヒルズ震災訓練」が開催された。
 同訓練は「街ぐるみの防災体制の整備」を目的として、「六本木ヒルズ」が開業した2003年以降毎年実施している恒例の訓練。今年で16回目を迎えた震災訓練では、六本木ヒルズの住民やオフィスワーカー、店舗従業員をはじめとする六本木ヒルズ自治会の構成員、近隣住民など計800名が参加した。六本木ヒルズアリーナ内の大階段下にて行われ、応急手当や火災消火活動、エレベーター閉じ込め、心肺蘇生・AED操作などを体験。また近くには麻布消防署や警察署、港区などがブースを出展し、震災時の対応や日頃の地震対策・備えなどについてもレクチャーする姿が見られた。
 訓練に先立ち、森ビルの取締役副社長執行役員及び震災対策室室長の森浩生氏が登壇し、「『平成』という時代を振り返ってみると、大きな災害が多かったと感じます。更に、むこう30年間で首都直下型地震の発生する可能性が高いとのデータも出ていることから、日頃如何に災害に備えるか我々の重要なテーマであると認識しています。この様な震災訓練を継続して行うことで、参加者は高いスキルと意識を身に着けるキッカケになるのでないでしょうか」と語った。
 実際、六本木ヒルズは災害時に「逃げ込める街」を目指し、災害に強い街づくりを行ってきた。ハード面の対策として、各建物における最良の耐震技術の採用、中圧ガスによる自家発電設備の設置など、巨大地震が発生した際にも都市機能を維持できるように整備してきた。他にも生活用水を供給することができる災害用井戸、約10万食の備蓄食料なども備えている。一方ソフト面では今回のように、災害時における居住者・テナント・来街者・周辺地域住民の安全確保、建物機能の早期回復などに重点をおいた震災訓練を定期的に実施してきた。
 また近年ますます増加する外国人居住者や訪日観光客への対応を目的として、4カ国語による「災害時情報配信システム」、防災用語をわかりやすく説明する「やさしい日本語」に関するブースも設置し、参加者の理解促進を図った。以前から森ビル及び六本木ヒルズ自治会は、災害時の外国人情報難民ゼロを目指し多言語対応を推進してきた。帰宅困難者受け入れスペースにおいて閲覧可能な情報配信システムを活用すれば、個々のモバイル機器からその時そのエリアにいる人たちにとって有効な情報を取得することができる。2016年7月以降は、港区と「区民等への情報伝達に関する協定」を締結し、官民連携による情報発信を実施。また今年3月から従来の日本語・英語配信に加え、中国語・韓国語の配信も開始した。
 震災時は正確な情報を得ることは極めて重要。街において、複数言語での情報発信及び情報発信の多重化が求められている。森ビル及び六本木ヒルズ自治会ではこれらニーズに対応しつつ、初動期に必要となる活動を体験することで自助と共助への意識向上を図っていく。




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