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ストライク 経営者と妻、事業承継で「ミスマッチ」
2019.03.18 14:42
需要拡大に対応し大阪オフィス拡張も
経営者は会社を残したいが、妻にとっては迷惑!?
M&A仲介サービス大手のストライク(東京都千代田区)が、会社経営者とその配偶者に「残したい資産」、「残してもらいたくない資産」を調査。すると、こんなミスマッチが浮き彫りになった。
団塊の世代の大量退職などで企業の後継者不在は深刻。事業をどう次代に引き継いでいくかについて、家族同士の意思疎通が重要な課題となりそうだ。
調査は今年1月10~11日にインターネットを通じて経営者に実施した。「自分が亡くなった時に残したい資産」との質問(複数回答)で「経営する会社(会社の株式)」と答えた人は約40%にのぼった。
これは「現金・預金(68%)」、「居住用不動産(42%)」に次いで上位3番目。「不動産(賃貸用・投資用)」、「保険金」、「美術品」などを大きく引き離している。苦労して会社を育て上げた経営者は、親族に事業を引き継ぎたいとの気持ちが強いようだ。
一方の配偶者はどうか。ストライクが昨年8月に経営者の配偶者に対して実施した調査によると、「ご主人が亡くなる際に残されて困るものは」との質問に対して、「経営する会社(会社の株式)」と答えた人は38%にのぼり最多。事業を家族に残したい経営者にとっては残念な結果となった。
配偶者が「残してほしいもの」で最も多かったのは「現金・預金」で、全体の89%にのぼった。「保険金」「居住用不動産」「国債などの有価証券」が続き、「経営する会社(会社の株式)」と答えた人は15%にとどまった。
第一次ベビーブームの時期に生まれた「団塊の世代」の大量退職が今後本格化することもあり、中小企業では事業をどう次世代に伝えていくかが深刻な課題となっている。
経済産業省・中小企業庁などによると、中小企業の経営者の年齢分布で最も多い層は2015年に66歳と、20年前の47歳から大幅に上昇した。今後10年の間に、70歳(平均引退年齢)を超える中小企業・小規模事業者の経営者は約245万人となり、うち約半数の127万人(日本企業全体の3分の1)が後継者未定とされている。
仮に現状を放置すると、2025年頃までの10年間の累計で約650万人の雇用、約22兆円の国内総生産(GDP)が失われる可能性があるともいわれる。
そのなかで同社は関西圏での事業拡大をにらみ、大阪オフィスを移転・拡張した。人員を4名から9名に増員、3月4日より営業開始した。大阪など関西圏では中小企業の経営者の高齢化が進んでおり、後継者不在に悩む経営者も多い。こうした中小企業の事業承継や企業の「選択と集中」などを背景
としたM&A(合併・買収)需要の拡大に対応する。