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「伊藤テクノスクール」開講 社員研修制度の一環として導入
2019.04.01 17:59
将来的には建設業界各社へ展開も
業務用エアコンの販売やメンテナンスなどを行う伊藤テクノ(東京都葛飾区)は先月26日、足立区西新井4丁目の「宮川倉庫」にて「伊藤テクノスクール」を開講した。
参加したのは同社社員6名。代表取締役CEOの伊藤丈史氏は開講の目的について「業務拡大にともなって社員を倍の70名へと拡大していくことを計画しています。そのなかで一致した理念や目標、また業界スタッフとしてひとりひとりのマナーを磨く場にしていきたい」と話す。
当日のスクールは2部構成。第1部では「理念からくる人生観研修」と題して、自分のことから会社の経営理念、人事理念などを題材にして参加者に「どのように感じたか」、「自分の人生の理念はなにか」などを質問。参加者それぞれがポストイットに書いて、発表していった。
「この手法は当社の役員会議で取り入れている手法です。発言だけにしてしまうと、周りに流されることも多々あります。それを防ぎ、自分で考えたことを発言してほしいという思いから、スクールでも導入しました」
第2部は「ビジネスマナー講座」として身だしなみや電話対応、名刺交換など基本的なビジネスマナーについての研修が行われた。
伊藤氏は中長期的に「業界の他社の研修メニューとしても提案していきたい」と話す。その背景にあるのが「業界全体の人手不足」だ。「建設就業者は55歳以上が約3割と高齢化が進むなかで、次世代の人材である29歳以下が約1割となっています」と指摘。「人材不足は進み、業界としての見通しも暗い」と言う。
「このようなスクールを通して、建設業界やエアコン業界など『職人』の業界が、若い人や子どもにとって『目指される』仕事にしていきたい」
業界内では数年前より「けんせつ小町」も登場。従来の「3K」というイメージの脱却に向けた動きが進む。「伊藤テクノスクール」の取り組みも改革への一手となりそうだ。
「宮川倉庫」で業界向けシェアオフィスも
伊藤社長は「伊藤テクノスクール」と並行して中長期のプロジェクトとして「宮川倉庫」内に同業者向けにシェアオフィスを展開することも構想している。
「『宮川倉庫』では今回の『伊藤テクノスクール』のほかに空調機器メンテナンスや修理などの実習現場にもしていきます。ただそれ以外の期間が空いてしまいますので、間仕切りを設けて一部を同業者向けのシェアオフィスとして運営していきたいと考えています」
空調メンテナンス事業者は個人事業者も多い。事務所以外に一定規模の倉庫を借りるのは資金面からいっても難しい。「このような隠れたニーズに応えていきたい」と意欲を示す。
この構想の続報を待ちたい。