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オーベラス・ジャパン 「the REMS」5月20日スタート プロ向けのB to B取引プラットフォーム

2019.05.20 12:17

 不動産テックのなかでも空白となっていたプロプレーヤー向けの取引プラットフォーム。オーベラス・ジャパンが20日より新しくサービスをスタートさせた。

 「全ての不動産プレーヤーに最良のコンテンツを」を企業理念に掲げるオーベラス・ジャパン(東京都江東区)が20日、「the Real Estate Matching System(the REMS)」をリリースした。
 「the REMS」は価格が5億円以上の1棟モノの収益物件に限定した直接取引のプラットフォーム。不動産ファンドやリート、ビルオーナーなどの不動産のプロプレーヤーが使用する。
 「the REMS」では会員同士が匿名でやり取りを行う。会員登録には与信や投資実績などの審査があり、これらの審査が全てクリアされて会員となる。売りたい物件と、買いたい物件の購入ニーズの登録ができるようになるが「プロほど情報を開示したくない」のが現状。このサイトでは区市町村などの大まかな場所や価格帯、用途などだけで登録が可能。物件に興味がある会員同士でメッセージを取り合い、双方合意に至ると、クローズドな形で社名を開示して交渉に入ることができる。
 業界で話題となっている不動産テック。取引プラットフォームの立ち上げも少なくないが、それらはサラリーマン投資家などの個人をターゲットにしたものが多い。代表取締役社長の大庭勇太氏は「不動産ファンドなどプロを対象にしたものは空白になっていました。当社では2015年創業以来、この空白を埋めることはできないかと考えてきました」と話す。
 現状のテック系企業がプロ向けの分野に参入できないのは、なぜなのか。代表取締役副社長の池田良太氏は「ITの知識があっても、不動産ファンドなどでの業務経験やノウハウがないと実態が分からない分野。特に情報を表に出したがらないのが業界の特長であり、これまでどのテック系企業も課題解決できなかった」と指摘する。
 大庭氏、池田氏ともに大成有楽不動産の出身。オーベラス・ジャパンでも不動産ファンド向けの電気料金削減コンサルなどを通して、2000棟以上の物件に関わってきた。
 そこで培ったコネクションと、クライアントからの声が「the REMS」開発のきっかけになったよう。「限定200社で半年間、無料でサイトを開放します。プロプレーヤーに物件の情報交換をネットで気軽にできる世界観を知ってもらいたい」(池田氏)。5年後には本プラットフォームでの年間取引額1兆円を目指す。
 テックの空白地帯だったプロ物件の取引プラットフォーム。その広がりに期待したい。




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