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「渋谷PARCO」11月下旬オープン エリアを代表する施設として「街に刺激を」

2019.06.24 12:36

19階建てビルには屋上庭園や開放通路も設置
 現在建替え中の「渋谷PARCO」が11月下旬にグランドオープンする。
 1973年にオープンした渋谷PARCOは、「インキュベーション」、「街づくり」、「情報発信」に取り組み、街を刺激すると同時に、刺激を受けながら渋谷エリアの発展の一端を担ってきた。この3つの取組みは、運営するパルコ(東京都渋谷区)のDNAであり、原点であり、進化し続ける同社の信念だという。渋谷PARCO建替え計画は2007年より検討を開始。2015年12月に都市再生特別地区の決定を受け、市街地再開発事業として計画を進めてきた。
 新たに生まれる建物は「渋谷PARCOパート1.」と「渋谷PARCOパート3.」を一体的に建て替えるもので、地上19階地下3階、延床面積6万4000㎡。うち渋谷PARCOは地下1階から地上9階の4万2000㎡を使用する。
 12~18階はオフィスとし、4階、8階、10階には屋上広場も設ける。また旧パート1.とパート3.の間にあった道路を代替するものとして館内に幅8m、2層吹き抜けの通路を設け、24時間開放する。投資額は214億円、年間テナント取扱高目標は200億円としている。
 1969年開業の「池袋PARCO」が50周年を迎える節目の年に生まれ変わる新生「渋谷PARCO」は、次の50年の未来に照準を合わせ、さらなる進化を目指している。ビルコンセプトは、世界へ発信する唯一無二の「次世代型商業施設」。ニーズを満たすのではなく、ニーズを創造し、新しい消費提案・価値観を提供する。これまでの商業施設の枠を超え、デザイナーやクリエイターなどの送り手と共感・共創することで、新しい刺激や楽しさの体験価値を提案し、グローバルに情報発信するビルを志向。そのために、デザイン・アート性やエンタテインメント性の高い専門店を軸としたテナント構成で独自性を高めていく。
 また、ターゲットとして「ノンエイジ」、「ジェンダーレス」、「コスモポリタン」を掲げ、特定の年齢層や性別の顧客にターゲットを絞るのではなく、「新しいこと、人と違うこと、面白いこと、個性を追求する」、いわば感性で消費をする都市生活者が世界中から訪れることを狙いとしている。
 約180の個性あふれるショップが出店予定。「FASHION」、「ART&CULTURE」、「ENTERTAINMENT」、「FOOD」、「TECHNOLOGY」の5本の柱でカテゴライズされるが、それぞれのジャンルをミックスし、お互いの魅力を引き出しあうフロア編集を行う。また劇場やミニシアター、ライブハウスなども設置するほか、10階には420坪の屋上広場や60坪の屋内イベントスペースを用意。ショッピングにとどまらない多様な来館者を吸引する。
 建築意匠についても、渋谷の特徴である「坂」と「通り」に注目し、通路・階段をスペイン坂から螺旋状に建物外周に沿って10階までつなぐことで(立体街路)、街と融合した建物となる。様々な面を持つ立体的な外壁構成のテーマは「原石の集積」。異なった形状・素材(思想・才能)が惹きつけ合いひとつの塊になることにより、インキューベーション・イノベーションの誘発を表現している。




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