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「保証」と「仲介」で移転費用ダウン 日本商業不動産保証が新事業

2019.07.16 15:14

 オフィス・店舗等の商業向け不動産の賃貸に関わる保証金・敷金に代わる制度として、保証を提供することで事業資金を確保し、「企業出世」をサポートする日本商業不動産保証(東京都港区)は、宅地建物取引業者の免許を取得し、新たにオフィス・店舗等の商業向け賃貸不動産仲介事業を開始した。
 オフィスビル仲介大手の三鬼商事(東京都中央区)が発表した都心5区(千代田、中央、港、新宿、渋谷)における5月の空室率は1・64%を記録し、2002年1月以来の最低を更新。逆に賃料は、空室率低下に伴い上昇傾向にある。また2020年に向けて、今後も外資系企業が日本へ進出してくることや、訪日外国人客増加によりオフィスビルのホテルへの転換が予想され、商業向け賃貸不動産の需給はひっ迫した状況が続く見通しである。さらに移転時に必要となるオフィス・店舗等の内装工事費用が、工事労務費や資材費の上昇により増加傾向にあるため、事業拡大を目指してオフィス移転や新規出店を考えているベンチャー・中小企業にとって、成長戦略の大きな足かせになりかねない。
 このような環境の中、商業向け不動産賃貸における保証金・敷金に代わる保証サービス(代表的なサービスとしては「保証金半額くん」など)を提供してきた同社は、ベンチャー企業や中小企業のより良い移転に貢献するため、宅地建物取引業者の免許を取得し、オフィス・店舗等商業向け賃貸不動産仲介事業を開始した。
 仲介事業では、同社の既存の保証サービスを併用することで、移転時のイニシャルコストにおいて大きな割合を占める敷金・保証金が削減でき、物件の選択肢の幅を広げることが可能だ。また同社は、これまでベンチャー・中小企業を保証してきた強みから入居審査も併せてサポート。他社にはない「保証事業」と「仲介事業」の両方を展開する。これにより事業拡大を目指すベンチャー・中小企業のスムーズなオフィス移転、新規出店を支援し、企業成長をバックアップしていく。
 同社の保証・仲介ビジネスをもう少し詳しくみてみよう。同社が提供する代表的な保証サービス「フラットオフィス」は、万が一テナント企業の倒産・破産などで賃料不払いが生じた場合に、同社がオフィスの賃料債務・原状回復費などを保証することを前提に、ビルオーナーが預かる保証金(敷金)を減額、もしくは0にするサービス。入居希望企業は保証金(敷金)という入居・移転に際し必要な初期費用を抑え、その減額分の資金を有効活用することが可能。一方、貸す側のビルオーナーにとっては、同社が保証と併せて入居企業を仲介するため、万一のケースへの備えも確保しながら、将来有望な企業を確保。さらに、こうしたメリットを広く発信することで、自身のビルに「初期費用が掛からず、移転できる」という付加価値を与えることになり、優良なテナントを増やすことができる。「保証」と「仲介」の組み合わせによる、入居企業とビルオーナーの双方にメリットがあるサービスだ。




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