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森ビル 次世代の都市再生事業「虎ノ門・麻布台プロジェクト」着工式開催
2019.08.26 14:58
「ヒルズの未来形」を想定
森ビルが長年取り組んでいた「虎ノ門・麻布台地区第一種市街地再開発事業」が動き出した。広大な敷地の中に高度かつ多様な都市機能を含む本案件。就業者数は2万人、居住者数は3500人、年間来街者数は約2500~3000万人を想定。「六本木ヒルズ」に匹敵する数字だ。代表取締役社長の辻慎吾氏が「これまでのヒルズで培ったすべてを注ぎ込んだ『ヒルズの未来形』でもあります」と話した。一大プロジェクトに多くの注目が集まっている。
森ビル(東京都港区)は、30年の歳月をかけて取り組んできた都市再生事業「虎ノ門・麻布台地区第一種市街地再開発事業(以下、虎ノ門・麻布台プロジェクト)」の着工式を行い、22日には報道陣向けにプロジェクトの発表会を行った。
「虎ノ門・麻布台プロジェクト」は、「アークヒルズ」や「仙石山森タワー」に隣接。「文化都心・六本木ヒルズ」と「グローバルビジネスセンター・虎ノ門ヒルズ」の中間に位置し、文化とビジネスの両方の個性を備えたエリアにある。計画区域は約8・1haもの広大な敷地。敷地内に緑をふんだんに取り入れる計画で、緑化面積は約2・4haに上る。また約6000㎡の中央広場を街の中心に据えることも検討する。オフィス、住宅、ホテル、インターナショナルスクール、商業施設、文化施設など、多様な都市機能を高度に融合させた「ヒルズの未来形」を想定し、延床面積は約86万400㎡、オフィス総貸室面積は21万3900㎡、住宅戸数は「六本木ヒルズ」を凌ぐ約1400戸となる予定だ。ちなみに就業者数は約2万人、居住者数は約3500人、想定する年間来街者は数2500~3000万人と、スケールやインパクトは六本木ヒルズに匹敵する内容だ。
プロジェクトの発表会では、代表取締役社長の辻慎吾氏が登壇。辻氏は「虎ノ門・麻布台プロジェクトのコンセプトは、『緑に包まれ、人と人をつなぐ『広場』のような街 ― Modern Urban Village ―』。国際都市の洗練さと小さな村のような親密さを兼ね備えた、世界に類のない全く新しい街を目指します。当社が理想とする『都市の中の都市(コンパクトシティ)』でもあり、これまでのヒルズで培ったすべてを注ぎ込んだ『ヒルズの未来形』でもあります」と今回のプロジェクトに対する意気込みを熱く語った。
またこれからは、世界の都市間競争の時代に突入することも指摘。国内のみならず、アジアで、更には世界規模で人・モノ・金を集める磁力が重要と同社は捉えている。辻氏は「今回は『人』に焦点をあて、そこに暮らす人のより良い職・住環境を意識して街づくりを行います。虎ノ門・麻布台プロジェクトが完成することで、都市の総合力が更に高まることでしょう」と語った。