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よじげん 飲食店コワーキング「selfwork」立ち上げ
2019.09.02 15:39
第一号は渋谷、「中小企業版WeWork」に
飲食店舗のアイドルタイムシェア事業を展開するよじげん(東京都新宿区)は8月21日、飲食店コワーキングブランド「selfwork」の立ち上げを発表した。第一号店は9月2日に渋谷で立ち上げる。年内に4店舗の開設を目指し、2020年末までに100店舗、会員1万人体制を目標としている。
想定する利用層はノマドワーカーや、営業スタッフ。あるいは中小企業のサテライトオフィスとしての利用だ。
今回の立ち上げの経緯について、代表取締役の荒木賢二郎氏は飲食店事業者側とスペース利用者側双方のニーズを挙げる。
まず飲食店事業者。「理由は3つありました」とする。「当社がこれまで運営してきた『よじげんスペース』は飲食店を開業したい人を応援するということから、料理人1人でも対応できるような10坪前後の物件が大半を占めていました。広いスペースを持つレストランからも問い合わせをいただいていましたが、対応が難しいのが現状でした。2つ目の理由は、たとえば昼の時間帯に営業していなくてもその時間帯は仕込みでキッチンを利用しているケースもあったこと。そして3つ目は食中毒リスクを懸念する飲食店オーナーが一定数いたことが挙げられます」と説明する。
そこで荒木氏は「客席のみをワークスペースに変えることはできないか」と思案するに至った。
世界的に見ればレストランコワークは米国ニューヨークなどを中心として、広がりを見せている。荒木氏は「日本でも需要を獲得することができる」と見込んでいる。
「ノマドワーカーや営業マンなどは仕事をする場所の確保に苦労しています。彼らは外での時間を有効に利用するため、仕事をする場所として多くがカフェを選択しています。しかし混雑や長時間の利用が難しいこと、また仕事に必要な電源やWi―Fiが完備されていないことがネックとなっています」
飲食店コワーキングの「selfwork」はレストランや飲食店の客席だけを開放。Wi―Fiや電源、ウォーターサーバーなどは完備する。利用するために店舗のメニューを頼む必要はない。客席などの内装を変更する必要もない。契約形態の違いはあるが「selfwork」の施設として登録するための広さの条件も設けない。飲食店オーナーにとっては活用しやすい。
他のコワーキングスペースとの差別化も図る。
「利用者のためにクローズドのFacebookグループを用意します。ここでは互いの趣味や飲み会などゆるい繋がりをつくるとともに、ちょっとした仕事を頼みたいときの場所としての活用も促していく予定です」(荒木氏)
「selfwork」が目指すのは「中小企業版WeWork」。WeWorkは料金が高額で、スタートアップなどには敷居が高いという見方がある。「selfwork」は企業の99%は中小企業と言われる日本企業や起業家、営業マンなどのニーズを拾っていく狙いだ。