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東京建物 「(仮称)八重洲一丁目北地区第一種市街地再開発」国家戦略特区特定事業に認定

2019.10.21 14:17

2025年度着工、観光は2035年度
   東京建物(東京都中央区)は10月11日、同社が再開発準備組合の一員としてすすめる「(仮称)八重洲一丁目北地区第一種市街地再開発事業」について、都市計画決定および東京圏の国家戦略特別区域の特定事業として認定がなされたと発表した。事業は今年4月から都市再生特別地区として都市計画提案を行っていた。
八重洲北端の大規模計画 敷地は9260㎡
 計画地は八重洲一丁目の北端、日本橋川南岸で、日本橋川と並行する区道をはさんで北街区と南街区にわかれる。合わせて9260㎡の敷地に、北街区に1700㎡、南街区に18万500㎡の延床面積の建物を新築。本体の着工は2025年度を予定し、竣工は南街区が2030年度、北街区は2035年度を予定する。
水辺空間と金融拠点 日本橋川沿いのコアに
 「東京」駅日本橋口至近、地下鉄「日本橋」駅に直結と交通利便性が高く、国が掲げる東京国際金融センター構想の金融軸の中心に位置している。事業では日本橋川沿いエリアを整備し、併せて国際競争力の強化のための金融拠点の形成を目指す。国際金融に関わる人材や都心型MICE(ビジネストラベル等)によって集まる人々を支える施設も整備し、防災対応力強化と環境負荷低減に向けた取組みも行う計画だ。
 日本橋川沿いの北街区には連続的な水辺空間と歩行者ネットワークを整備し、日本橋川交流拠点の象徴となる広場空間を創出。河川区域内の護岸上部も活用し、地上レベルからも、2~3階レベルからも水辺を楽しめる重層的な広場空間を生み出す。駅、まち、川をつなぐ地上、地下、デッキレベルの通路の新設や、「東京」駅、地下鉄「大手町」駅と地下鉄「日本橋」駅を接続する地下通路の一部区間も整備し、「東京」駅周辺の広域地下歩行者ネットワークを強化する。
帰難者施設を整備 地下には首都高も
 高度金融人材の活動支援の場としては、商談やビジネス交流、アフターコンベンションなど、様々なビジネスシーンで快適に利用・滞在できる施設を建設。周辺地区で建設が予定されている都市型複合MICE拠点との連携を通じ、日本橋川沿いエリアにおける国際金融・MICE機能の強化にも貢献する。
 また、災害発生時における帰宅困難者に対し、屋内の受入スペース(合計約1400㎡、約850名受入可能)および屋外の一時待機場所(約1500㎡)を確保。防災備蓄倉庫(約150㎡)も用意する。耐震性に優れたコジェネレーションシステム(CGS)や非常用発電施設等、災害時に強い自立分散型エネルギーシステムを導入。CGS廃熱の直接利用、廃熱熱利用冷凍機および蓄熱槽を組み合わせた高効率な地域冷暖房(DHC)プラントも整備し、エネルギーの効率的利用を図る。
 さらに、首都高日本橋地下化検討会が公表した「首都高地下化ルート」および「事業スキーム(案)」を踏まえ、首都高地下化の実現に向けた各種協力も推進。日本橋川上空の首都高高架を撤去した後は、計画地の地下に新しい首都高を通す構想がある。
 東京建物では、国際都市東京に相応しい象徴性あるまちづくりと、日本橋川沿の水辺を活かした安らぎある空間の融合を目指すとしている。




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