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大成建設とマイクロソフトが協業 AIやIoTを活用し、施設運用・保守事業を変革へ
2019.10.21 14:07
大成建設(東京都新宿区)と日本マイクロソフト(東京都港区)は、AI・IoTを活用した施設運用・保守事業の変革(不動産価値の維持、利用者の満足度最大化や建物運営管理業務の効率化)に向けて協業を開始した。
大成建設では建物引き渡し後の施設運用・保守事業にいち早く着目し、不動産価値の維持や利用者満足度の最大化、建物保守業務の効率化を図るこの領域を強化。7月に「AI・IoTビジネス推進部」を立ち上げ、用途・機能別に複数のソリューションの検討を開始していた。
システムには日本マイクロソフトのパブリッククラウドプラットフォーム「Microsoft Azure」とWindows10 IoT」ベースのエッジデバイスを採用。建物や利用者の様々なデータをIoTセンサーなどで収集し、AIによる分析結果を元に建物設備の自動制御などを行うクラウドサービス基盤も構築した。このデジタルプラットフォームを共通基盤に、AI・IoTを活用した各種取得データの蓄積や、様々なソリューション間での連携・運用を行い、付加価値の高いサービスを提供していく。
大成建設と日本マイクロソフトとの協業により、2019年度後期から順次事業展開を予定する主なソリューションは以下となる。
1・地震発生直後の建物健全性把握
事業継続計画(BCP)の早期立案に対応する。大成建設では、地震発生直後に建物の健全性を迅速に評価し、建物の所有者や管理者にタイムリーに通知するためのシステムを開発。様々なデータを収集・管理・運用するためのクラウド基盤としてMicrosoft製のエッジデバイスを活用する。地震発生直後の短時間に膨大なデータ量の処理が求められる状況でも、正確かつ迅速な情報伝達によるBCP初期対応への支援を行う。
2・施設統合運営管理
Microsoft製の建物運営管理サービス「スマート・ビルディング・ソリューション」を活用し、ビル管理者向けに建物運営管理業務の効率化支援サービスの実現を目指す。さらに今後は、大成建設と日本マイクロソフトが連携して設計・施工と建物運営管理をパッケージ化したビジネスモデルの展開を推進。顧客の資産価値の維持、向上を図る。
3・生産施設における従業員の作業状況を見える化
従業員の心拍、体温、姿勢などの身体の状態、所在、作業環境のデータをエッジデバイス経由で随時取得し「Microsoft Azure」上に蓄積、関連情報をモニタリングする。AIによる分析などで従業員の作業負荷軽減や労働環境を改善するための効率的な作業計画立案。作業状況を考慮した動線などを検討し、最適な指示やアクションの提示を支援する。
今後、大成建設と日本マイクロソフトは、様々な分野でAI・IoTビジネスを展開。建物の利用者、所有者、管理者をはじめ、建物周辺地域の関係者に対して、AI・IoTを活用した新たなソリューションを提供していく予定だ。