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複合型ワークプレイスPORTAL POINT -Ebisu-「恵比寿ガーデンプレイス」内にオープンへ

2019.10.28 14:30

開業25年目のガーデンプレイス「商業施設からの脱却」目指す
ショップなどを改装 居住者との交流機能も
 サッポロ不動産開発(東京都渋谷区)は、保有する「恵比寿ガーデンプレイス」内に複合型ワークプレイス「PORTAL POINT -Ebisu-(ポータルポイント恵比寿)」をオープンさせる。大規模複合開発の嚆矢として注目を集め続けた「恵比寿ガーデンプレイス」が、開業から25周年目にして「脱・商業施設」に舵を切り始めた。

 「PORTAL POINT -Ebisu-(ポータルポイント恵比寿)」は、5~十数名ほどの小規模オフィスと月額制のコワーキングルーム、カフェなどからなる延床面積1529㎡の施設。プロデュースと運営は、都内を中心に既築ビルの再生やワークプレイスの運営を行うリアルゲイト(東京都渋谷区)が担う。オープンするのは、「恵比寿ガーデンプレイス」地下1階の「グラススクエア」。11月の開業に向け工事が進んでいる。
 中央に位置する300㎡のコミュニティラウンジはオフィス入居者以外も利用可能。高さ8・6mの天井はガラス張りで、「グラススクエア」の名称のもとにもなった。レストランやショップが集積したエリアのシンボル的な吹き抜け空間を改装し、ソファやローテーブルを配した開放的な空間とした。ラウンジにはレセプションも設置されており、特徴的な円形カウンターはアメリカの空港を改装したホテルがモチーフ。普段は施設のロビーとしての役割を受け持ち、ガーデンプレイスで暮らす人々や来街者との交流の場としても機能する。またイベント会場としてさまざまな利用も想定。体験と交流を軸とした地域コミュニティーのきっかけづくりを果たす、施設の核でもある。
 コミュニティラウンジ横にはSD R(東京都港区)が運営する「ショールーミングストア」を設置。発売前のプロトタイプや新発売のプロダクトを展示し、反応をデータ化して商品のブラッシュアップなどにつなげるシステムだ。
ショーウィンドーを活用 ガラス張りのオフィスに
 オフィスは通路側がガラス張りの「ショールームオフィス」と、建物外に面した窓をもつ「プライベートオフィス」、合わせて9区画を用意。ガラス張りの「ショールームオフィス」はガーデンプレイス内を行き来する人にプロダクトや企業の雰囲気をアピールできる発信型オフィスで、ショップとして使われていたころのショーウィンドーを生かした。
 JR「恵比寿」駅に続く通路に面したショップ跡には、多目的に活用できる「ポップアップスペース」を用意。2面がガラス張りで視認性が高く、主に数週間から1年ほどの期間限定ショップとしての利用を想定。オフィスとしても使用できるなど、多様な使い方ができる空間だ。
 さらに施設内には、空間デザインや飲食店運営を行うトランジットジェネラルオフィス(東京都港区)が運営するカフェ「テストキッチン」がオープンする。その名の通り同社のテストキッチンとしての機能を持ち、新メニューのテストなども行う。トランジットジェネラルオフィスはテストキッチンのオープンを機に「ポータルポイント恵比寿」内に本社を移転予定で、店舗開発力強化も狙う。
 オフィス入居者向けのサービスとしては、オフィス入居者専用のラウンジや貸し切り可能なミーティングルーム、ミニキッチンのほか、ブレインスリープ(東京都千代田区)が運営する仮眠室が特徴的。科学的根拠に基づいたIoTデバイスを設置し、最適な仮眠を提供する。
 施設への反応も上々だ。23日に行われた報道向け発表会でリアルゲイトの代表取締役・岩本裕氏は「募集サイトを開設して1カ月半で、資料請求は150件に達している」と話す。ガーデンプレイスや近隣住人のセカンドオフィスとしての利用や、ガーデンプレイスタワー内にオフィスをかまえる企業から打ち合わせ場所などとして利用したいというニーズも多いという。
変わるガーデンプレイス そのシンボルに位置づけ
 サッポロ不動産開発代表取締役社長の時松浩氏は、「恵比寿ガーデンプレイス」の今後の発展の核に「商業施設からの脱却」を掲げる。「自社物件だけにとらわれない『まち視点』での発展」を目指し、住宅・オフィス・ショップなど各機能がバランスを保ちながら、近隣に住む人々のニーズにも配慮したまちづくりを進めていくとした。そのシンボルに、「ポータルポイント恵比寿」は位置付けられている。  今後の「恵比寿ガーデンプレイス」がどの方向に進むか。「ポータルポイント恵比寿」は、その進路を占う施設にもなりそうだ。




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