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大林組と丸紅アークログがBIMオブジェクト拡充で提携
2019.10.28 13:53
建築デザインにイノベーションを起こし、建築ビジネスの業務全体を効率化する画期的なソリューションとして期待されているBIM(Building Information Modeling)。コンピュータ上に作成した3次元の建物モデルに、設計から施工、コストや仕上げ、維持管理に至るまでの様々な属性データを付加し、建築業務全体の効率化を図る新しいワークフローだ。
大林組(東京都港区)は、BIMオブジェクト総合検索プラットフォーム「Arch-LOG」を運営する丸紅アークログ(東京都港区)と、BIMオブジェクト拡充とプラットフォーム活用のためのアライアンスを締結。業界におけるBIM活用促進に貢献していく。
BIMの活用においては、そのオブジェクトの整備が急務。特に設計から施工まででBIMを一貫して利用するには、モデルの詳細度に応じた適切なオブジェクトの拡充が必要だ。大林組では建築、構造、設備などのデータがすべて統合されたモデルを活用することをめざし、さまざまな用途のオブジェクトを整備してきた。しかし、今後BIMが設計者や施工者だけでなく建材メーカーや什器メーカーなどでも利用され、活用領域が拡大していくためには、大林組一社だけで整備するには限界があり、増大するオブジェクトを集約・管理するプラットフォームを構築することが課題となっていた。
丸紅アークログの「Arch-LOG」では、大林組で作成したオブジェクトや、一般的な建築部材、建材メーカーが作成しているオブジェクトや各素材のカタログデータだけでなく、衛生陶器や厨房機器、医療機器などのオブジェクトデータも同一のプラットフォームに格納。BIMアプリケーションとダイレクトに連携するため、オブジェクトの検索やBIMに取り込む手間、さらには素材選択からサンプル依頼、マテリアルボードの作成に至るまで省力化が図れる。また、高精細なレンダリング機能を活用することで、関係者間の意思決定の迅速化を実現できる。
大林組はこうしたメリットを最大限に活用していくため、まずは設計部門全体で「Arch-LOG」を利用することでオブジェクトの整備に協力し、プラットフォームの充実に合わせて施工部門も含めた全社への展開を図っていく。また、多くの設計事務所や建設会社、建材メーカーがオブジェクトの整備に参加していくことで、より強固なプラットフォームが構築されることを目指す。
今後は提携による取り組みを通して、建物のモデル化を促進。建物所有者や利用者に多くのメリットを提供できるBIM環境の実現に力を注いでいく。