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松下徽章 「ほめる」をつくる取り組み
2020.02.17 17:43
トロフィーやバッジなど表彰記念品の製造を手掛ける松下徽章(東京都台東区)は今年で創業83年を迎える老舗企業。2016年には1954年に竣工した「V鹿ショールーム」を「ほめビル」として全改装。表彰・お祝いの際に使われる紙吹雪をモチーフに、紅白に華々しく彩られた外観が新堀通りの中でもひと際目を引く。1階に設けられた「ほめるをつくるファクトリー」は、代表・松下芳宗氏が掲げる「ほめるをつくる」というコンセプトを具現化したフロア。「ほめられる喜び」と共に「ほめる喜び」を子供から大人まで広く知ってもらうべく、個人や団体に向けたワークショップを毎日開催している。ほかにも同社は様々な活動を続けている。
松下徽章の活動は、台東区が取り組む事業「学びのキャンパスプランニング」にも登録し、近隣の学校・企業・団体向けにも展開している。自社のシンボル「V鹿」を模した自動車「ほめカー」で各地の学校を訪れ、「ほめる学校」という子供向けのプロジェクトを実施している。ことぶきこども園(台東区寿)、北浦和小学校(さいたま市浦和区)、区内の児童会館と場所を問わず駆け付けている。「ほめる学校」では自分や周りの人を「ほめる」オリジナルの賞状と、デコレーションできるクマ型のカップ(スマクマ)を作ることができる。完成した後には発表会を行い、子供たちで自他ともに褒め合う。自分をほめることで自己肯定感を高め、周りの人をほめることで感謝の気持ちや目配りの意識を養うのが「ほめる学校」の狙いだ。
また、メーカーや問屋が多い台東区では2011年から町興しイベント「モノマチ」を開催しており、2日間で1万人もの来場者が訪れる。松下徽章も参加し「ほめビル」のワークショップを開き、ほめるグッズの製作体験ができるように来場者を迎えている。露店・実演会・体験会など出店形態は様々で、地域と一丸になってものづくりの魅力を発信している。
企画室イノベーションチーム主任の佐々木孝氏は、「ほかにもユニークな『手軽にほめるための商品』をメンバーと共に企画・開発している」と話す。「子供やお年寄りの方が簡単に手作りできる『ほめくす玉』、アクリルのコインにメッセージシールを貼り入れる『ほめ缶』、金メダルの形の『あなたは〇〇DE賞コースター』」と指折り数えて見せた。どれも老若男女に親しんでもらえるよう考えられた逸品揃い。佐々木氏は「些細なことでも表彰にもっと携わって、ほめる喜びを知ってほしい」とした。