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業界IPO ヴィスがマザーズに新規上場
2020.04.06 16:32
「デザイナーズオフィス」普及にアクセル 12月には「VISビル」竣工も予定
デザイナーズオフィス事業を展開するヴィス(大阪市中央区)は先月25日、マザーズ市場に上場を果たした。
同社は1998年に設立。2004年1月よりデザイナーズオフィス事業をスタートさせ、2018年度までの累計で5310件手掛け、これまでに「日経ニューオフィス賞」受賞も22件にのぼる。今回の上場を機に同社が打ち出す「デザイナーズオフィス」の認知・普及に一層取り組みを強化していく。
代表取締役の中村勇人氏は主力事業である「デザイナーズオフィス事業」について「『働き方改革』に伴い、オフィスデザインも生産性向上や採用率向上を目的とするものが増えています」としたうえで、「社員のエンゲージメント(愛着や思い入れ)を高める役割として私たちの『デザイナーズオフィス』にニーズをいただいています」と話す。
同社の新しい成長戦略として注目されるのが、今年1月に大阪・心斎橋で着工し12月の竣工を予定する「VISビル」。これについて中村氏は「3つの役割があります」という。
「まず、様々な働き方をテストし、当社として知見を蓄積していくこと。コワーキングオフィスやシェアオフィス、セットアップオフィスなど、様々なスペースをつくることを考えています。次に当社のブランドとしての役割、最後に安定した賃貸収入を獲得することです。またビルのなかで複合的な働き方ができるので、その運営方法やモデルやビルオーナーの方々にも提供していきたいと考えています」
一方で直近では「コロナウイルス感染拡大」が実体経済に及ぼす影響が伝えられている。中村氏も「状況を注視しています」としつつも「08年のリーマンショック時は、オフィスを縮小することでも仕事が発生していました。縮小する際も、社員のモチベーションを下げないためにオフィスのデザインはきちんと作りたいという依頼や原状回復の依頼がありました。影響は限定的とみています」と話した。
同社は今後「デザイナーズオフィス事業」の実績を積み上げながら、12月竣工予定の「VISビル」で弾みをつけていくことになる。同ビルは「デザイナーズオフィス」のモデルオフィスとなるもの。これまで「働き方改革」と「ビル経営」は中小ビルオーナーにとって「近くて遠い」存在だったが、「VISビル」はその距離を縮めるかもしれない。