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「BRICKS馬車道舘」竣工 低層階は歴史の感じられるレンガ造り
2020.04.13 17:22
地元・鶴見をはじめ、横浜や川崎エリアなどで不動産事業を営む北原不動産(横浜市鶴見区)は先月末、みなとみらい線「馬車道」駅から徒歩3分の馬車道と太田町通りが交わる角地で建設を進める、オフィス・店舗で構成された複合ビル「BRICKS馬車道舘」が竣工。今月1日からは各テナントの入居が始まった。
同ビルは、徒歩8分圏内に3路線が利用可能な好アクセス地に建つ。地上10階のRC造で、延床面積は1285・43㎡。昨年3月に着工し、およそ1年で竣工した。角地ということから視認性は抜群。リーシングも順調に進み、高稼働でのオープンとなる。また同地より約360m(徒歩4分)の場所に、今年6月末から供用開始予定の横浜市新市庁舎も立地。約6000人の職員が勤務するとのこと。レジャー施設や商業店舗が集積するみなとみらいエリアも近いため、足元の店舗利用などに波及効果が期待される。
ビルの外観も魅力のひとつ。特に低層階はレンガ造りとなり、関内や馬車道の歴史に関連した仕上がりとなった。そもそも江戸時代末期、同地域へペリーが来航して以降、急速に貿易港へ発展。海外の領事館や貿易業に関連した西洋式の建物が並び、雰囲気も以前とは大きく様変わりした。この貿易港の内と外を分ける箇所に関所が設けられ、内を「関内」。外を「関外」となる。海外との商業ゾーンが作られたことで横浜における「商いの出発点」が形成され、メイン通りは外国人が馬車で往来したことから「馬車道」と名付けられた。
代表取締役社長の北原登美夫氏は「横浜は、仕事や暮らし、来街者向けのエンターテイメントも揃った多様性のある街です。加えて、古き良き雰囲気や歴史の感じられる建物も現存していることから、これら魅力を生かしたビルを造ることで、街の活性化や発展にも寄与できます。ビル名もレンガを沢山使用したことから『BRICKS馬車道舘』と命名しました」と語る。とはいえ、ビルの開発には時を要した。以前、同地には築年数の経過した共同ビルが立地。地権者の承諾も得ながら、数年かけての着工に至る。新たに誕生したビルにより、近隣地域の魅力も高まったことだろう。
北原氏は「まだ一部貸室に空きはありますが、当地より徒歩4分の場所で今月下旬に入居開始予定の『ザ・タワー横浜北仲』や約3000人が勤務する神奈川県庁舎も徒歩10圏内に立地しています。オフィスと店舗の双方の需要が見込める地に建つため、満室稼動も先の事ではないでしょう」と語った。
<物件概要>
竣工:2020年3月31日
オーナー:北原不動産、他
延床面積:1285.43㎡
敷地面積:190.62㎡
建築面積:142.88㎡
規模:地上10階
構造:RC造
主要用途:オフィス、店舗