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コロナ禍で売却案件出回る 資金繰り不安で運転資金確保に
2020.04.20 17:13
コロナ禍によって急速に経済が冷え込む中で不動産売買市場も急変している。運転資金の確保や返済スケジュールに迫られた売り案件が増加。コロナ終息の見通しがつかないなかで、金融機関からの借入が難しくなることも予想されており売りに拍車がかかることも予想される。AM事業やクラウドファンディング事業を展開するブリッジ・シー・キャピタル(東京都中央区)は16日、物件買取サービス「CREAL Buyer」を発表した。金額規模・エリアを問わず、買取を強化していく。
AM事業、クラウドファンディング事業で累計300億円超(2019年9月末時点)の運用実績を持つブリッジ・シー・キャピタルが物件買取サービス「CREAL Buyer」を開始した。コロナ禍で増加する、運転資金確保などを理由とした売却ニーズに応えていく。購入対象となるアセットクラスやエリアなどに限定を設けない。買い取った物件は金額規模や権利関係などの状況に応じて、クラウドファンディング「CREAL」や私募ファンドで運用する。
足もとの売買動向はどう動いているか。代表取締役社長の横田大造氏は「リーマンショック時と同様、コロナ禍によってマーケットが大きく動いていて、売り案件が多くなっています」と指摘。特にホテル、レジデンス、開発中案件や土地などの持ち込みが増加しているという。
投資家のスタンスは様々だ。機関投資家はそれぞれの投資方針から積極姿勢、静観姿勢が交錯する。一方、クラウドファンディングを中心に不動産投資を行う少額の個人投資家は「急速に伸びている」という。「株式や投資信託と比べて元本変動リスクが低いことや、毎月安定配当がある点が評価されているのでは」と分析する。この旺盛な投資意欲と個人投資家の資金力を背景に積極的な買いを入れていく。
同社にとっては今回の急転直下は追い風になりそうだ。横田氏は「コロナ禍の影響が長引けば銀行ファイナンスはますます厳しくなると予想されますが、クラウドファンディングのような銀行借入を必要としない買い手にとっては大きなチャンスになると考えています」と話す。
「CREAL Buyer」はインターネット上で案件ソーシングが可能。外出や対面することが自粛環境にあるコロナ禍においても売りニーズに応える。同社の仕入れ・調達・運用・売却など各プロセスのオートメーション化の先駆けでもあり、長期的に仕入れの情報収集・対応の効率化を図っていく考えだ。