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ビーロット、M&Aでリート事業にも着手 不透明感増す中で攻めの一手も

2020.05.25 14:07

 4月30日、ビーロット(東京都港区)は投資運用業のライセンスを持つLCパートナーズ(東京都港区)全株式と傘下のメディカルアセット投資法人の全投資口を取得、両社の連結子会社化を発表した。取得価額は概算で2億円。

グループのノウハウを生かしてまずは3年間でAUM500億円に
 ビーロットでは2015年にビーロット・アセットマネジメント(以下、BAM社)を設立。金融商品取引業のうち投資助言・代理業のライセンスを持ち、国内外の投資家のリクエストに応じて多数のファンドアレンジを行い、AM受託実績を積み上げてきた。
 投資家向けサービスの幅の拡大を目指し、新規ライセンス取得やライセンス保有会社のM&Aの可能性をこの数年模索してきたという。
 ビーロットグループではオフィスや商業店舗、共同住宅などの収益不動産のほか、介護施設、物流施設、ホテル、ゴルフ場などのオペレーショナルアセットも積極的に取り扱ってきた。LCパートナーズは、現在商業用不動産のAM案件を中心に複数案件受託しているが、今回のビーロットグループのノウハウを活かしスピード成長を目指していく。BAM社は必要な期間を経た上でLCパートナーズと合併し、名称はビーロット・アセットマネジメントとなる予定だ。
 ビーロット取締役不動産コンサルティング本部長の外川太郎氏は今後の展望について次のように話す。
 「今回M&AをさせていただくLCパートナーズ社においてもこれまでビーロットグループで培ってきた『公明正大なビジネス展開』と『新しい価値の創造』、『地域社会への貢献』を追求する企業文化を融合させていく予定です。またメディカルアセット投資法人においても、ビーロットグループが保有するパイプラインを主に活用して当面は、まず3年で500億円、5年で1000億円のAUMを目指してまいります」
転換点をつかんで事業機会見据える
 直近では新型コロナウイルスの影響が世界経済の不透明感を増幅させている。不動産業界でも影響はいまだに測りきれない。外川氏も直近のマーケット環境の見方は厳しい。
 「現在、コロナウイルスの影響で、人々の物理的な動きが制限されたことから、観光業・飲食業界は壊滅的な影響を受け、主にホテル・飲食店舗が入居する収益不動産への実質的な影響が出始めています。また海外投資家も同様に動きがとれないことからマーケットの様子見状態にあり、対日投資減少など不動産投資市場においても影響が出ております。このような情勢下にあって当社においても進行中プロジェクトについて当初の計画に対して、事業の見直しを含め修正せざるをえないプロジェクトも出てくるという認識でおります。全般的に、どこまで影響が及ぶのか、どれほど続くのか見込みが立たない状態にあるため、大きな判断は見送られる傾向にあると認識しております」
 しかし、そのような中でも、ただ悲観しているわけでないという。たとえばインバウンド需要。直近は極度の不振に陥っているものの、「近年、日本経済の安定性や、『おもてなし文化』、豊富な観光スポットはグローバルに高い評価を得ていました」として、「投資マーケット、投資家のニーズはコロナが一段落した際の回復は早いのでは」とみる。
 また、今回の感染症ではマスク着用や手洗いの徹底など、「健康」への意識の強化も見られる。外川氏はこの点にも注目し「先進的かつ高度な医療施設などのマーケットが拡大されるなど時代に応じた新しい業態ニーズがでてくるのでは」と推測する。このような転換期において、変化を次の事業機会に生かしていくことが成長の条件となりそうだ。  そのなかで今回の発表はビーロットグループの新たな攻めの一手。
 「当社グループとしてはこの先一考せざるを得ないこのタイミングを『優秀な人材の採用・優良不動産の取得・フィー事業の拡大』に繋がるチャンスへ変えるための施策を引き続き積極的に行っていく方針です」(外川氏)
 ビーロットグループはアフターコロナを見据えた準備を着々と進めている。今回の発表はそのなかの一策になりそうだ。




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