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短期賃貸・シェアハウス・民泊等のオーナーを支援 NOW ROOMが「自動直前セール機能」を追加
2020.09.14 11:55
入居稼働率低下に直面している賃貸住宅や宿泊施設が増えている。NOW ROOM(東京都渋谷区)は、運営する短期空室情報プラットフォーム「NOW ROOM」にうて「自動直前セール機能」を追加した。これにより短期賃貸やマンスリー、シェアハウス、ゲストハウス、民泊等の入居稼働率改善に貢献。オーナー田谷運営会社を支援していく考えだ。
「自動直前セール機能」は、直前空室を埋めるための仕組み。例えば12月1日からの入居者が決まった場合、10月・11月が空室のままだと家賃も空白になる。この空白を短期利用者で埋めることにより、収益アップにつなげる。同セール機能については、リーズナブルな空室がすぐに見つかるホテル比較検索・予約サイトをイメージするとわかりやすい。ホテルのサイトと同じようにAIが自動で部屋ごとの割引率を算定し、利用希望者は割引率や立地条件、その他の条件を考慮しながらウェブで契約まで完結できる。
8月1日から同セール機能を活用しているBeGoodJapan(東京都新宿区)が運営する個室シェアハウスでは、開始1週間で入居稼働率が前年同月比29%増の50%まで回復。入居予定者を含めると同じく45%増の66%まで回復した。また、入居予定者の約10%が長く住みたいという意向を示しており、割引を通じた顧客開拓と長期契約による売上増という効果も出ている。
「NOW ROOM」の利用者は、Z世代やミレニアム世代が中心。モノを所有せずに、仕事やライフスタイルの変化に応じて1カ月~1年の短期で住み替える人が多い。企業のプロジェクトによって短期の居を構えるビジネスマン、外国人滞在者を含む利用登録者は9000名を超えている。掲載物件も普通賃貸からホテルまでと幅広く、都内を中心に全国で1万5000室以上を数える。最大の特色は、入居者が審査不要・初期費用なしですぐに入居できる点。同社では掲載側に対して、24カ月間の家賃および物損・原状回復費用を保証。掲載料も不要で、成約手数料(9%~12%)のみで掲載できるようにしている。これにより貸す側は安心して物件を掲載でき、借りる側は審査を待つことなくスピーディに住まいや居室を確保できる。
同社代表の千葉史生氏は、「NOW ROOMではフリーランサーやアドレスホッパーなど、いわゆる多拠点居住者といわれる若年層を中心にニーズが急増しています。その多彩なニーズと、賃貸および宿泊業界を結ぶことが我々の使命です」と語る。次のビジネス展開については、「実はNOW ROOMの以前に『NOW WORK』の構想を持っており、技術的な開発もほぼ完了しています。まずは賃貸領域でしっかりとした基盤を築いた上で、コワーキングブースやワークボックス(カラオケボックスを利用)などを歩きながら検索し、利用できるアプリを追加する予定です」とのこと。アフターコロナの時代には、様々なスペース活用が展開されることは必至。その意味で同社の今後からは目が離せない。