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東京駅前にTOKYO TORCH
2020.09.23 14:11
2027年度、大手町・丸の内・八重洲・日本橋の結節点で高さ約390m、地上63階の「Torch Tower」が完成する。現在、「東京駅前常盤橋プロジェクト」として開発中の街区名称は「TOKYO TORCH(トウキョウトーチ)」に決定。新型コロナウイルスの感染状況を踏まえ、ポストコロナ時代を見据えたニューノーマル対応施策も発表された。今後の開発に新たな課題が見えてきた。
三菱地所(東京千代田区)は17日、「東京」駅日本橋口前で推進中の「東京駅前常盤橋プロジェクト(大手町2丁目常盤橋地区第一種市街地再開発事業)」の街区名称および街区内建設・計画中の2棟のタワーの名称を決定、その概要を発表した。
同社執行役社長・吉田淳一氏は、「10年以上前から検討を進め、国家戦略特区の認定を受け、2027年度の全体開業を目指しています。近年、グローバルな競争激化、災害の深刻化と、社会的課題が山積しております。不透明感・不確実性も増してきており、新型コロナウイルスの影響も有り、世の中に停滞感が広がっていると感じております。そういった時代であるからこそ、あえて明快でわかりやすく、『世代や国境を越えて日本を明るく、元気にする』というビジョンを掲げて取り進めてまいります。東京というよりも、日本の国としての国際競争力を上げたいと考えています。また、地方との連携を通して、日本全国にその影響を波及させていきたい。日本をリードする力として、国際的な金融拠点や、世界との交流拠点が必要とされています。本プロジェクトでも、世界の人々が『来てみたい』と思える日本の新名所を作りたい。具体的には、IT等の最新機能も盛り込み、最先端の情報を発信するまちにしていきたい」と述べた。
街区の名称は、日本を照らす松明あるいは灯りのような存在でありたいという「TOKYO TORCH(トウキョウトーチ)」と決定。街区内には、来年6月末竣工予定の高さ約212mの「常盤橋タワー」、2027年度完成予定の高さ約390mの「Torch Tower」の2棟が建つ。
「TOKYO TORCH」は東京メトロ東西線「大手町」駅コンコースと直結予定。将来的には、大手町エリアと日本橋エリアを地下で結節する呉服橋交差点の地下歩行者通路も整備予定。
日本一の高さとなるシンボル的な「Torch Tower」は、地上63階地下4階、延床面積は約54万4000㎡。東京都心を眼下に、富士山を望むことができる展望施設、57~61階には約100室の国際級ホテル、7~53階はオフィス、3~6階は約2000席のホールが入る予定だ。
2016年度に決定済みの都市計画の変更手続きにより、時勢や周辺環境の変化に対応し、地下歩行者通路の整備や約7000㎡の大規模広場を活用した帰宅困難者支援機能の強化等を行う。
参加型・発信型の「まちづくり」にも力を入れる。地方自治体連携の取り組みとして錦鯉発祥の地として知られる新潟県小千谷市との協働で「常盤橋タワー」沿い親水空間内に「錦鯉が泳ぐ池」を含む小千谷市PRゾーンを整備する。
新型コロナウイルス感染症の経験からポストコロナ時代に備え、様々な「ニューノーマル」対応施策もある。
「屋外空間を2haほど準備します。当初からこういった空間を充実させていくことは考えていました。コロナとほぼ同時期に検討中ではあったが、屋外空間の重要性についてはコロナを経て再認識した。尚、ホールの屋上庭園については、コロナ後に追加した内容です。今、外で過ごすことがより重要になっています。当初の1・2haを2haまで増やして対応していきます。ウィズコロナが続くとすれば『非接触』が大事なテーマになります。自転車通勤などのモビリティに対応できるまちづくり、柔軟なオフィスづくりを進めたい。日本を明るく元気にするという信念をまっとうしていきたい」(執行役員常盤橋開発部長・茅野静仁氏)。
常盤橋タワーは地上38階地下5階、延床面積は約14万6000㎡。9~37階にオフィスが入る予定。「オフィス・商業もリーシングは順調に進んでおり、おおむね目途が立っている状況」(茅野氏)。オフィス需要の変化による今後の未来図については「自由度が高く働ける場は都心・郊外を含め一定のニーズがある。関係各所との連携を深め、まちの魅力を高めていけば需要は増えていくと思う。ソフト・ハード両面から更に計画を進化させていく」(吉田氏)とした。