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SATAS 不動産投資型CF事業好調 不動産小口化商品の実績生きる 10月には11号ファンドを組成へ

2020.09.28 13:45

 SATAS(東京都港区)が展開する不動産投資型クラウドファンディング(CF)の「WARASHIBE」が順調に投資家から資金を集めている。
 同社は1999年に設立。不動産証券化のコンサルティング事業から始まり、2014年には100万円から都内の区分マンションに投資することができる不動産特定共同事業法に「ゆうゆう倶楽部」を発売。これまで第3号まで展開し運用を続けている。
 そんなSATASが2019年に新規事業としてスタートしたのが不動産投資家型クラウドファンディング「WARASHIBE」だ。事業責任者の高橋美樹氏はその経緯を次のように話す。
 「当社は会社設立以来、不動産の小口化商品を展開するのと並行し買い取り再販やそれに伴うリノベーションなどといった不動産コンサルティング事業も手掛けてきました。2017年12月1日に不動産特定共同事業の一部改正が施行されオンラインでの不動産投資家の募集が可能になったことから、当社でも参入の準備を進めてきました」
 従来の不動産小口化商品は一般的に相続税対策商品であるというイメージが強く、出資者の年齢層は高め。それに対して、クラウドファンディングはオンラインであることからより若年層の投資家の参加が期待することができる。
 「WARASHIBE」ではこれまで10号までファンドを展開。初のキャピタルゲイン重視型の第10号ファンド「港区広尾3.」を含め、すべてのファンドで募集総額に対して150%超の出資を集めている。
 昨今のCF人気もあるかもしれない。ただ高橋氏によると「あまり宣伝を行わずに、口コミなどで広がってきています」という。これまでのファンド物件はすべて、不動産投資会社であるTRIAD(東京都港区)が保有する物件で組成している。TRIAD、SATASはともに自ら物件を開発し保有しており、目利き力は評価できる。「WARASHIBE」には「当社が投資したいと思える」(高橋氏)物件を組み込んでいる。要は自信アリの物件。「だからこそ、各ファンドページにて物件について詳細な説明を行っております」。
 そのなかで10月2日には新しいファンドである「第11号ファンド」の組成を予定する。このファンドは世田谷区三軒茶屋の5階建て1棟ビル(店舗・事務所・居宅)を組み込むインカムゲイン型の商品。予定利回りは4・0%で、運用期間は2年となる。現在賃貸フロアは満室稼働となっている。
 高橋氏は当該物件について「道路の角地に面して視認性が良いため、店舗需要に最適な立地であり、テナントは焼肉店や物販店舗、事務所、スタジオ等が入居しています。直近では、内装をすべて解体しデザイナーズリノベーションを行い賃貸募集をしたところ、わずか9日で契約が決まるほどの人気でした」と説明する。
 今後の展開についても期待したい。現状ではTRIAD社のみが物件を提供しているが、複数の不動産会社が案件を提供するようなプラットフォームにすることも可能だ。
 ただ高橋氏は「すぐには難しいと思います」と話し、中長期的な展開として考えていくことを示唆する。今は着実に地歩を固めているようだ。




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