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フィルター+光触媒で空気清浄 インフルエンザウイルス99.4%以上除去
2020.10.26 10:39
床暖房機器の製造・販売を手がけるアルシステム(大阪府吹田市)では、2018年8月より業務用空気清浄機の製造・販売を行っており、これまでの累計出荷台数は3万台を超えている。最近は新型コロナウイルス感染症の予防・拡大防止ニーズの高まりも手伝って、月間約500台程度と好調な販売実績を維持している。
商品名は「PRIMAVERA(プリマヴェーラ)」と「BIOMICRON(バイオミクロン)」の2つ。ともに青森県八戸市に本社を置くアンデス電気からのOEM供給によるものだが、プリマヴェーラはアルシステム専用に開発・製造されている完全オリジナル製品だ。
同社の空気清浄機の特徴について、川井田哲也営業部長は「一般的な空気清浄機は、フィルターを通過させることで空気中のチリやホコリ、タバコの煙などを除去する仕組みです。しかしフィルターですと、直径0・1マイクロメートル以下の粒子、例えばガス成分、ウイルスや菌類の中でも小さなものは通過してしまいます。それに対して当社の空気清浄機は、フィルターを通過した粒子については酸化チタンの光触媒の原理で吸着・分解します。このため、空気清浄に加えて除菌や消臭においても高い効果を発揮します」と語る。ちなみに、同社の空気清浄機と同様の仕組みは、新幹線「のぞみ」内の喫煙ルームでも用いられているという。
また、新型コロナへの効果については「現在のところ新型コロナウイルスそのものを使った試験はできていませんが、かつて北里研究所医療環境科学センターが実施した試験では、当社の空気清浄機を1回通過させただけでインフルエンザウイルスの99・4%以上を除去したという結果がでています。これから考えても、同様の大きさの粒子である新型コロナウイルスに対しても一定の効果があるとみていいでしょう」とコメントする。
現在は、小規模事務所内や医療・介護関連施設、保育施設などの納入実績、引き合いが多いというが、同社ではオフィスビルやマンションの共用部にも設置を積極的に提案していきたい考えだ。「例えば、不特定多数の人が滞在するエレベーターホールやエントランスホールなどに設置をすれば高い効果が期待できます」。
価格は、バイオミクロンが29万4000円~。プリマヴェーラは、20畳程度のスペースまで対応する小型モデルが17万5000円~、30畳程度のスペースまで対応するモデルが30万円~(いずれも税別)。なお、使用状況にもよるが、いずれのモデルも2年に1回程度のフィルター交換が必要となる。販売は基本的に代理店を通じて行っており、同社では、全国で販売代理店も募集している。
「現在の空気清浄機は後付けタイプのものだけですが、今後は同じ技術を用いたビルトインタイプの開発も検討しています。当社はもともと床暖房システムの製造・販売を行っていますので、全国の設計事務所やゼネコン、サブコンと強いパイプがあります。ビルトインタイプができれば、これらのルートを使って、これまで以上に広く普及させることができます」