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エムシープランナーズ 千葉県にタイルカーペット再生工場新設 原状回復工事での使用済みカーペットをリユース

2020.12.28 14:33

 「SDGs」や「ESG」がビジネスの現場でもトレンドになるなかで、ビル業界でも環境への配慮は不可欠なテーマとなっている。そのなかで、タイルカーペットの再生利用を促す取り組みを行っているのがエムシープランナーズ(東京都江東区)。拡大する再生需要に対応するため11月に千葉県内に新しく再生工場を新設した。

 タイルカーペットを再生するリセット施工を手掛けるエムシープランナーズは11月、新たに「タイルカーペット リユースセンター」を千葉県大網白里市に新設した。
 同社はこれまで汚れが原因で貼り替えが検討されるタイルカーペットを再生する「タイルカーペット丸洗いリセット施工」を展開。新品に貼り替える費用と比較して約半分の金額で綺麗なフロアに甦る事や、昨今のESGやSDGsといった環境配慮の流れから実績を積み上げてきた。
 さらに今年9月より原状回復工事などで貼り替えられるタイルカーペットで再生可能な物を1枚1円で買い取るサービスを始めた。回収されたタイルカーペットはリセット洗浄で再生した後に「リユースカーペット エシレ」として販売して資源循環型ビジネスの確立を目指している。
 買い取りの依頼は増えているようだ。代表取締役の畠山文明氏は「捨てるのにも産業廃棄物として処理費用が掛かるので、コスト削減出来ることからの買取り依頼が多いが、やはり殆どの方が『まだ捨てるのはもったいない…』と言います」と話す。今回の「リユースセンター」の開設は、今後買い取る量が大幅に増加する事を見越して受け入れ態勢を整えた。
リユースタイルカーペット 新品を探す前に選ばれる存在に!  同社では「タイルカーペットを無駄に捨てない社会を目指して!」を企業目標に掲げて、新品を検討する前にリユースカーペットが普通に選ばれる社会を目指している。
 「2014年からリセット施工に取り組み始めて、年々認知度が拡大しています。たとえば環境配慮に熱心な企業様からは継続してご依頼をいただいており、またビルオーナー様からも原状回復工事のコスト削減が出来ることにメリットを感じていただいています」(畠山氏)
 まだまだタイルカーペットがリユース出来ることは知られておらず、実際の洗浄工程やリユースカーペットを確認してもらえるよう神田にショールームを開設していだが、年明けからはショールームを江東区の本社内に移転させ、引き続きタイルカーペットのリセット施工・リユースについて周知活動に力を入れていきたいと力を込める。
被災地への無償支援 活用のヒントにも
 リユースタイルカーペットの魅力は様々な取り組みからもうかがえる。その一つが被災地で支援活動を行っているNPOなどを通じて、無償で支援していることだ。
 たとえば台風や豪雨などで浸水被害を受けた家屋の場合、復旧作業にはボランティアが支援に入るが、その一方で修復に必要な建材などは被災者が自身で購入しなければならず、被災して生活基盤が不安定な中ではどうしても予算が限られるのが実情だ。
 そこでリユースタイルカーペットを敷く事で自宅での生活を取り戻せたり、仮設住宅では隙間風が防げて寒さも和らぐと喜ばれている。
 産業廃棄物となるはずだったタイルカーペットが再生されて被災地の復興に役立つ事はとても意義深い活動だ。
 またそのような取り組みの中で、新しい発見もあるようだ。
 「被災者への分配や施工は支援団体に任せていますが、複数の色のタイルカーペットをミックスして敷く事によって、デザインチックでおしゃれな感じに仕上がっているのです」(畠山氏)
 同社ではリユースタイルカーペットを使用した敷設工事も始めており、このような事例も参考にしながらテナントやビルオーナーに多様な提案を行っていく。
 今後も様々なヒントや発見を生かしながらタイルカーペットのリユースを社会に広めていく決意だ。




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