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TMES 目視巡回点検を効率化 クラウドサービス「LiLz Gauge」
2021.02.01 11:31
ビル・施設管理会社は長年、保守・点検業務における効率化や手間の削減に取り組んできたが、上手く改善できた事例は少なかった。それがクラウドサービスの普及や進歩によって、ここ数年で飛躍的に改善。ビル管理及びファシリティマネジメントを得意とするTMES(東京都港区)も昨年3月から、クラウドサービスを導入して点検時間の短縮に成功している。
IoTカメラを設置 計器の値を読み取る
昨年4月に高砂丸誠エンジニアリングサービスから社名を変更したTMES(東京都港区)は、昨年3月からIoTカメラと機械学習を活用し、目視巡回点検を効率化したクラウドサービス「LiLz Gauge(リルズゲージ)」を提供する。
同サービスは沖縄のベンチャー企業・LiLz(沖縄県宜野湾市)が開発した低消費電力のIoTカメラ「LiLz Cam」を計器前に設置し、画像解析と機械学習で計器(円型、矩形型、ナナセグ型、カウンタ型、棒型、ランプ型)の値を読み取ることで機能するサービス。カメラは1日3回の撮影を約3年継続可能な低消費電力が特徴で、指定した時間に撮影した計器の画像データはクラウドプラットフォームへ自動送信される。計器が示している値を画像解析により読み取り、計器の画像と値の一覧がウェブ画面(ダッシュボード)に表示。パソコンだけでなく、タブレットやスマートフォン(iOSのみ)でも表示・操作が可能で、このリルズゲージにより保守メンテナンス業務における遠隔管理と効率化に繋がった。
移動・点検時間70%削減に成功
また使用するIoTカメラは、電源の無い場所や高所タンク・天井裏といった危険区域、遠距離にある施設など、あらゆる場所に導入・設置できる。狭い・入りにくい場所にも適しており、点検の度に人が入る必要もなくなった。更に計器の値を自動で読み取り、点検時の入力作業も解消された。計器値の入力候補は、画像解析と機械学習によりデジタル値として表示されるため、全ての値を入力することなく点検が可能。1つのカメラ画像から複数の計器の値をまとめて解析することもできる。
更に外部アプリと連携するために使用されるAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェースの略)を利用すれば、「計器の値」や「カメラが撮影した画像」などのデータ取得も可能だ。現在利用する既存の設備管理システムなどと連携すれば、設備データの統合管理による更なる効率化も実現するかもしれない。ちなみに同社の現場で試験的に導入し検証を行ったところ、あるエリアの巡回点検における移動時間及び点検時間が342分から105分と、237分短縮された。削減効果は70%にもなった。
営業本部長の西片一成氏は「カメラのズレを自動で検知して読み取り精度を向上させる、また管理値の正常範囲を設定でき、この範囲を超えた時のアラート通知も可能となっています。管理業務における手間の削減だけでなく、自動で修正することや通知もしっかりと機能します」と語った。